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TORENDIA

列強環視の中心に在る日本

本文約5,100字 ・ 読了時間 約11分

あらすじ(AIが作成しました)

文明の進歩には謙虚さと調和が不可欠であり、唯我独尊は衝突と衰亡を招くと論じる。欧州大戦は諸国民の自負心と傲慢が衝突した結果であると指摘し、日本は東西文明の調和を旨として歩むべきだと説く。また、海外で流布する日本の侵略的野心や汎蒙古主義を否定し、それらは他者の心を自己の戦争哲学で忖度した誤解であると批判。日本が列強の注視を浴びる中に在ることを自覚し、常に警戒と反省を怠らぬよう警鐘を鳴らす。

大隈重信

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🎧 列強環視の中心に在る日本 / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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一 文明はすべて調和なり  一切の文明が、すべて調和である。政治、法律、科学、経済、哲学、宗教、文学、芸術、すべてが調和を図るところに進歩の光明が有り、調和を図らざるところに衰亡の陰影が伴う。万般の事、謙虚自ら処り、勉めて他の長を取り自己の短を補えば、其処に高き文明と低き文明との調和が成り、それが日常の実生活の上に現れて、富裕を致し、国運も隆昌になる。即ち、調和には謙虚が必要であるので、もし然らずして、倨傲自ら処り、唯我独尊、他を視る事卑く、従って自己の短を補うに他の長を以てするの工夫を怠らんか、ただに限り無く実生活を向上する能わざるのみならず、異なる文明と文明との間には調和を得ずして衝突が起り、ついに戦禍を招いてその国はあるいは衰えあるいは亡ぶるに至るのである。

今度の欧羅巴戦争が大なる教訓である。独り独人が倨傲なりとは言わぬ。英人もまた倨傲である。いわば、倨傲と倨傲との衝突である。独人は、僭越にも日耳曼文明が他に卓越しており、従って、これを所有する独人は一種の超人であると自負して、汎日耳曼主義を唱うれば、英人もまた英国文明が他に卓越して自己の民族が偉大であると自信し、あえて大英国主義を奉じている。この自負心と自負心とが衝突して、両々相下らざるの結果、ついに今日の如き、漠々三閲年、なお結んで解けざるの戦雲を捲き起したでないか。

否、独り独と英とのみではない。露西亜人はスラヴ民族を以て優秀なりと認むれば、仏蘭西人は拉典民族を以て優秀なりと認める。而して、皆相持して下らぬ。即ち、其処に禍機が潜伏するのである。否、独り英、独、露、仏のみとは言わぬ。茫々たる三千年の歴史が、一々これを実証している。一時、猶太王国に全盛を誇りしイスラエル文明は如何になったか。一時、羅馬帝国に全盛を誇りしラテン文明は如何であったか。皆自ら高しとして、他を学ぶを知らざるの結果は極めて保守的に傾き、従って時勢の進歩に後れて、ことごとく衰亡し去るの已む無きに至ったではないか。

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