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TORENDIA

より美しく―より和やかに

本文約530字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

廣島に滞在する著者は、復興の途上にある街を歩き、泉邸や常盤橋で見かけた人々の姿や鶴羽根神社の濠に、かつての凄惨な光景を重ね合わせる。ペン・クラブの一行と共に訪れた街の更生を目の当たりにしつつ、東京へ戻る前夜に、再び訪れる未来の廣島がより美しく和やかな姿になっていることを祈る心情を綴る。

原民喜

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🎧 より美しく―より和やかに / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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ペン・クラブの一行と別れて、私はまだ廣島に滞在しているわけだが、今朝は久振りで泉邸や常盤橋から饒津の方を歩いてみた。泉邸の川岸には頭に白い手ぬぐいをかむって何か働いている人の姿を見かけた。常盤橋の踏切の付近では道路をなおしている人たちを見た。

廣島は絶えず今も刻々に復興の途上にあるのだろう。だが、鶴羽根神社の靜かな濠のところまで來ると、私はこのあたりに眞赤な死体や眞黒い顏の火傷者がごろごろしていた時の情景をすぐ思い出す。昔の松の並木をしのばすように、松らしい大木の幹がたった一本道路に残っていたのも私にとっては胸をつぶすような感じがした。

こんどのペン・クラブの人たちには、廣島はもう以前ほど凄惨な印象は與えなかったかもしれない。それほど廣島はすでに廃虚の姿から更生されている。だが、やはり、この土地を訪ねてみてよかったと遠來の客はみんないっていた。私もいよいよ明日は東京へ帰るのだが、この次にまた廣島を訪ねる時は、この土地がもっと美しいもっと和やかな街になっていることを祈っておく。

なお二、三の文学グループから座談会の申込みもあったが、何しろ修学旅行のように忙しい日程だったので、意にそうことができなかったのをわびておく(日本ペンクラブ会員・廣島市幟町出身)

完

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