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TORENDIA

千葉海岸の詩

本文約390字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

幼い日の記憶や妻への語らい、麦の穂に吹く潮風や夜の海に浮かぶ三日月まで、千葉の海辺の情景を短い断章で連ねる原民喜の詩「千葉海岸の詩」。

原民喜

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🎧 千葉海岸の詩 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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a

我れ生存に行き暮れて

足どり鈍くたたずめど

満ち足らひたる人のごと

海を眺めて語るなり

b

あはれそのかみののぞき眼鏡に

東京の海のあさき色を

今千葉に来て憶ひ出すかと

幼き日の記憶熱をもて妻に語りぬ

c

ここに来て空気のにほひを感じる

うつとりと時間をかへりみるのだ

ひなげしの花は咲き

麦の穂に潮風が吹く

d

青空に照りかがやく樹がある

かがやく緑に心かがやく

海の近いしるしには

空がとろりと潤んでゐる

e

広い眺めは横につらなる

新しい眺めは茫としてゐる

遠浅の海は遠くて

黒ずんだ砂地ばかりだ

f

暗い海には三日月が出てゐる

暗い海にはほの明りがある

茫として微かではあるが

あのあたりが東京らしい

g

外に出てみると月がある

そこで海へ行つてみた

舟をやとつて乗出した

やがて暫くして帰つた

h

夜の海の霧は

海と空をかくし

眼の前に闇がたれさがる

闇が波音をたてて迫る

i

日は丘にあるが

海はまだ明けやらぬ

潮の退いた海にむかつて

人影は一つ進んで行く

完

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