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TORENDIA

郭公のおとずれ

本文約1,500字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

郭公の鳴き声と共に訪れる北海道の初夏について綴る。梅雨がなく、湿度が低く清々しい風土の特性が、人々に与える清新な印象を考察する。また、札幌を訪れる修学旅行生たちの様子や、地元の人々が彼らを温かく迎え入れる交流の風景を通じ、西洋風な香りを漂わせる街の情緒と、夏の乾燥した空気が人々の心を浮き立たせる様子を描く。

中谷宇吉郎

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🎧 郭公のおとずれ / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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六月に入ってしばらくすると、郭公が鳴く。

そして郭公とつれて、待ちかねた北海道の初夏が訪れて来る。

長い寒い北国の春につかれた人々は、爽かな初夏の風が、ようやくに出揃った楡の青葉をぬけて来る日が二、三日つづくと、やっと安心する。そして九月までの短い夏にいろいろの希望をかけるのである。

夏に北海道を訪れた人は、誰も北海道の美しさを讃美する。

それには緑の鮮かさとか、気温の涼しさとかいうものもあろうが、それよりも旅人にこの土地の風土の清新さを印象づける一番の要素は、湿度の問題ではなかろうかと思われる。

北海道には梅雨がないと昔から言われている。この近年は少し気候の調子が狂って、梅雨らしい日が一週間ばかりつづくこともある。しかし、それでもまだまだ日本の大部分の土地に蔽いかぶさるあの陰欝な、人にも物にも皆黴が生えるような梅雨とは程遠いものである。この梅雨のないことが、北海道の初夏の清々しさを独特のものとしているのである。

木や草は緑に輝き、空は高く澄んで、内地の秋のような色をしている。そこへ夏の陽が強い日射しを送ってくれ、肌がさらさらと着物の感触を受けるという気候的条件は、梅雨を逃れて北海道を訪れる人々に、あまり意識はされないかもしれないが、深い印象を与えているはずである。

私のつとめている大学の構内にも、郭公が鳴く。そしてそのおとずれがあってしばらくすると、東京の特に女学生たちの修学旅行の白いパラソルの列が、毎日のように芝生の間に点綴するのが見られる。

そういう一行は、大抵は大学の職員や道庁の人たちの夫人を卒業生の中にもっているらしい。そして、そういう夫人たちが二、三人か、時とすると四、五人も、列の先頭に立って歩いているのが見られることがある。

東京などから札幌へ移り住んでいる人たちには、何と言っても、こういうお客様が来ることは嬉しいのであろう。時とすると、夫人ばかりでなく、その御主人の方たちまで案内に加わっていることがある。

いつかこんな面白い話があった。

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