TORENDIA
石碑
中谷宇吉郎
TORENDIA
石碑
本文約430字 ・ 読了時間 約1分
あらすじ(AIが作成しました)
川に落ちた児童を救って命を落とした教師には石碑が建つが、何十年も事故なく勤め上げた地味な教師には碑が建たないと指摘し、教育を政治家任せにすべきでないと説く中谷宇吉郎の随筆。
速度
🎧 石碑 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら
💰 この本を応援する(投げ銭)
1 / 1
学制頒布七十年の記念式の新聞記事をよみながら、ふと思いついた話である。
何処かの国民学校で、児童たちをつれて遠足に行った。雨上がりで足をすべらせた児童の一人が河に落ちこんだ。その時先生の一人がすぐ濁流にとび込んでその児童を救い上げたが、自分は濁流の中に流されてしまった。
こういう場合には、その場所に石碑が建つであろう。そういう実例がたしか東京の近くにあったように記憶する。
ところで三十年間国民学校の先生をつとめ上げて、その間に何十人という腕白な児童たちを、何百回と遠足につれて行って、その中の一人をも河に落さなかった先生も沢山ある。そういう先生が退職しても、まず石碑は建たない。
教育の仕事は巧く行った場合には、効果は目立たない。そしてどんな無茶なことをしても、その人の在任中に悪い結果が現われる心配もない。いわば張り合いの無い仕事であるが、それだけに大切な仕事である。教育の仕事だけは、人気取りを必要とするいわゆる政治家にまかせたくないものである。(昭和十七年)
完
中谷宇吉郎の他の作品
TORENDIA
イグアノドンの
唄
中谷宇吉郎
イグアノドンの唄
中谷宇吉郎
TORENDIA
寺田先生の追憶
中谷宇吉郎
寺田先生の追憶
中谷宇吉郎
TORENDIA
立春の卵
中谷宇吉郎
立春の卵
中谷宇吉郎
TORENDIA
雪雑記
中谷宇吉郎
雪雑記
中谷宇吉郎
TORENDIA
比較科学論
中谷宇吉郎
比較科学論
中谷宇吉郎
TORENDIA
日本のこころ
中谷宇吉郎
日本のこころ
中谷宇吉郎
TORENDIA
南画を描く話
中谷宇吉郎
南画を描く話
中谷宇吉郎
TORENDIA
千里眼その他
中谷宇吉郎
千里眼その他
中谷宇吉郎
TORENDIA
原子爆弾雑話
中谷宇吉郎
原子爆弾雑話
中谷宇吉郎
TORENDIA
硝子を破る者
中谷宇吉郎
硝子を破る者
中谷宇吉郎
TORENDIA
簪を挿した蛇
中谷宇吉郎
簪を挿した蛇
中谷宇吉郎
TORENDIA
『西遊記』の夢
中谷宇吉郎
『西遊記』の夢
中谷宇吉郎
同じジャンルの朗読つきの本
TORENDIA
我れ何所へ行か
ん
萩原朔太郎
我れ何所へ行かん
萩原朔太郎 ・ 約1分
TORENDIA
農民文化といふ
こと
有島武郎
農民文化といふこと
有島武郎 ・ 約4分
TORENDIA
「沈黙」の話
豊島与志雄
「沈黙」の話
豊島与志雄 ・ 約26分
TORENDIA
天才になりそこ
なった男の話
坂口安吾
天才になりそこなった男の話
坂口安吾 ・ 約5分
TORENDIA
日記より
伊藤野枝
日記より
伊藤野枝 ・ 約11分
TORENDIA
小説家たらんと
する青年に与う
菊池寛
小説家たらんとする青年に与う
菊池寛 ・ 約7分
TORENDIA
文字に対する敏
感
久保田万太郎
文字に対する敏感
久保田万太郎 ・ 約2分
TORENDIA
少数と多数
エンマ・ゴルドマン
少数と多数
エンマ・ゴルドマン ・ 約16分