TORENDIA
奉教人の死
芥川龍之介
TORENDIA
奉教人の死
本文約9,600字 ・ 読了時間 約20分
あらすじ(AIが作成しました)
長崎の教会に暮らす、美しい少年ろおれんぞ。彼をめぐる疑惑と、火事の夜に明かされる真実を描く。キリシタン物と呼ばれる芥川の作品群の代表作。
🎧 まだ音声版はありません
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
💰 この本を応援する(投げ銭)
1 / 13
たとひ三百歳の齢を保ち、楽しみ身に余ると云ふとも、未来永々の果しなき楽しみに比ぶれば、夢幻の如し。
―慶長訳 Guia do Pecador―
善の道に立ち入りたらん人は、御教にこもる不可思議の甘味を覚ゆべし。
―慶長訳 Imitatione Christi―
一
去んぬる頃、日本長崎の「さんた・るちや」と申す「えけれしや」(寺院)に、「ろおれんぞ」と申すこの国の少年がござつた。これは或年御降誕の祭の夜、その「えけれしや」の戸口に、餓ゑ疲れてうち伏して居つたを、参詣の奉教人衆が介抱し、それより伴天連の憐みにて、寺中に養はれる事となつたげでござるが、何故かその身の素性を問へば、故郷は「はらいそ」(天国)父の名は「でうす」(天主)などと、何時も事もなげな笑に紛らいて、とんとまことは明した事もござない。なれど親の代から「ぜんちよ」(異教徒)の輩であらなんだ事だけは、手くびにかけた青玉の「こんたつ」(念珠)を見ても、知れたと申す。されば伴天連はじめ、多くの「いるまん」衆(法兄弟)も、よも怪しいものではござるまいとおぼされて、ねんごろに扶持して置かれたが、その信心の堅固なは、幼いにも似ず「すぺりおれす」(長老衆)が舌を捲くばかりであつたれば、一同も「ろおれんぞ」は天童の生れがはりであらうずなど申し、いづくの生れ、たれの子とも知れぬものを、無下にめでいつくしんで居つたげでござる。
芥川龍之介の他の作品
TORENDIA
わが散文詩
芥川龍之介
わが散文詩
芥川龍之介 ・ 約8分
TORENDIA
商賈聖母
芥川龍之介
商賈聖母
芥川龍之介 ・ 約1分
TORENDIA
かちかち山
芥川龍之介
かちかち山
芥川龍之介 ・ 約3分
TORENDIA
教訓談
芥川龍之介
教訓談
芥川龍之介 ・ 約1分
TORENDIA
鷺と鴛鴦
芥川龍之介
鷺と鴛鴦
芥川龍之介 ・ 約3分
TORENDIA
雪
芥川龍之介
雪
芥川龍之介 ・ 約2分
TORENDIA
詩集
芥川龍之介
詩集
芥川龍之介 ・ 約2分
TORENDIA
臘梅
芥川龍之介
臘梅
芥川龍之介 ・ 約1分
TORENDIA
沙羅の花
芥川龍之介
沙羅の花
芥川龍之介 ・ 約1分
TORENDIA
微笑
芥川龍之介
微笑
芥川龍之介 ・ 約2分
TORENDIA
二人の友
芥川龍之介
二人の友
芥川龍之介 ・ 約4分
TORENDIA
囈語
芥川龍之介
囈語
芥川龍之介 ・ 約1分