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TORENDIA

恥

本文約7,600字 ・ 読了時間 約16分

あらすじ(AIが作成しました)

小説家の戸田へ匿名で熱烈な手紙を送り続けていた二十三歳の和子は、自身の境遇と類似する新作小説を読み、自身がモデルにされたと早合点して対面を申し出る。しかし、戸田からは執筆にモデルは使わないと冷淡に突き放され、自身の勘違いと身勝手な振る舞いを突きつけられた和子は、言いようのない恥辱と打ちのめされた思いを抱え込み、小説家という存在への嫌悪と深い自己嫌悪に苛まれていく様子を描く。

太宰治

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菊子さん。恥をかいちゃったわよ。ひどい恥をかきました。顔から火が出る、などの形容はなまぬるい。草原をころげ廻って、わあっと叫びたい、と言っても未だ足りない。サムエル後書にありました。「タマル、灰を其の首に蒙り、着たる振袖を裂き、手を首にのせて、呼わりつつ去ゆけり」可愛そうな妹タマル。わかい女は、恥ずかしくてどうにもならなくなった時には、本当に頭から灰でもかぶって泣いてみたい気持になるわねえ。タマルの気持がわかります。

菊子さん。やっぱり、あなたのおっしゃったとおりだったわ。小説家なんて、人の屑よ。いいえ、鬼です。ひどいんです。私は、大恥かいちゃった。菊子さん。私は今まであなたに秘密にしていたけれど、小説家の戸田さんに、こっそり手紙を出していたのよ。そうしてとうとう一度お目にかかって大恥かいてしまいました。つまらない。

はじめから、ぜんぶお話申しましょう。九月のはじめ、私は戸田さんへ、こんな手紙を差し上げました。たいへん気取って書いたのです。

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