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TORENDIA

おじいさんのランプ

本文約11,800字 ・ 読了時間 約24分

あらすじ(AIが作成しました)

東一君が倉から珍しいランプを見つけ出し、叱られたことをきっかけに、おじいさんは自身の過去を語り始める。かつて身寄りのなかった巳之助は、ある町で見た美しいランプに魅了され、自らもランプ売りとして身を立てる。時代の流れで電気が普及し、ランプが不要となる中、巳之助は自らの愛した商売との別れを決意する。古いものを潔く手放し、次なる時代へと進む生き様の尊さを孫に伝える物語である。

新美南吉

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かくれんぼで、倉の隅にもぐりこんだ東一君がランプを持って出て来た。

それは珍らしい形のランプであった。八十糎ぐらいの太い竹の筒が台になっていて、その上にちょっぴり火のともる部分がくっついている、そしてほやは、細いガラスの筒であった。はじめて見るものにはランプとは思えないほどだった。

そこでみんなは、昔の鉄砲とまちがえてしまった。

「何だア、鉄砲かア」と鬼の宗八君はいった。

東一君のおじいさんも、しばらくそれが何だかわからなかった。眼鏡越しにじっと見ていてから、はじめてわかったのである。

ランプであることがわかると、東一君のおじいさんはこういって子供たちを叱りはじめた。

「こらこら、お前たちは何を持出すか。まことに子供というものは、黙って遊ばせておけば何を持出すやらわけのわからん、油断もすきもない、ぬすっと猫のようなものだ。こらこら、それはここへ持って来て、お前たちは外へ行って遊んで来い。外に行けば、電信柱でも何でも遊ぶものはいくらでもあるに」

こうして叱られると子供ははじめて、自分がよくない行いをしたことがわかるのである。そこで、ランプを持出した東一君はもちろんのこと、何も持出さなかった近所の子供たちも、自分たちみんなで悪いことをしたような顔をして、すごすごと外の道へ出ていった。

外には、春の昼の風が、ときおり道のほこりを吹立ててすぎ、のろのろと牛車が通ったあとを、白い蝶がいそがしそうに通ってゆくこともあった。なるほど電信柱があっちこっちに立っている。しかし子供たちは電信柱なんかで遊びはしなかった。大人が、こうして遊べといったことを、いわれたままに遊ぶというのは何となくばかげているように子供には思えるのである。

そこで子供たちは、ポケットの中のラムネ玉をカチカチいわせながら、広場の方へとんでいった。そしてまもなく自分たちの遊びで、さっきのランプのことは忘れてしまった。

日ぐれに東一君は家へ帰って来た。奥の居間のすみに、あのランプがおいてあった。しかし、ランプのことを何かいうと、またおじいさんにがみがみいわれるかも知れないので、黙っていた。

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