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TORENDIA

女性の現実

本文約3,100字 ・ 読了時間 約7分

あらすじ(AIが作成しました)

協力会議における婦人局設置案の提出を機に、社会的な勤労に従事する女性の置かれた厳しい現実を論じる。男と女の能力や貢献を同一視する抽象的な男女平等論の限界を指摘し、重工業分野への急激な女性進出や労働災害の増加、不当な賃金格差、母性に対する配慮の欠如といった具体的な課題を詳述する。働く女性の権利と母性を守るための社会的な施設や組織の必要性を訴え、真の女性の幸福を追求する視座を提示する随筆である。

宮本百合子

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🎧 女性の現実 / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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十二月十七日から三日の間に行われた協力会議で、婦人の問題で高良富子さんが、婦人局の設置の案を提出した。それに対して、有馬頼寧伯の談として、婦人局というようなものを置こうとは思っていない。婦人を区別しては考えていないわけで、国民としての貢献は男と全く同じ心で期待しているのだから、かえって婦人たちによろこばれるだろうと思っているという意味の言葉が語られているのを夕刊で読んだ。

会議の結果、どう決定されるのかはまだ判っていない。けれども、日本じゅうの女性たちは、この問題についてのそれぞれちがった意見をどのような感想をもって読んだろうか。

自分たちが生れて、そこに生き、そこに死する国を愛する心に、男と女とのちがいはないということも一応はわかることであり、その心に立って、尽す力を男とひとしく女に認め評価するという態度もその限りでもっともであろう。

しかし、新しい日本の社会の健全な発展のために、婦人局があったらよかろうと提案した人々の考えは、「女も国民として」の心持という抽象の観念ではなくて、そういう女性一般の心持が具体的に表現され活用されてゆく過程で、社会的により進歩した形として婦人の貢献の条件について考慮してゆく施設が在った方がいいだろうという立場からであったろうと思う。

婦人を男と区別しては考えていない、ということは、男尊女卑的な過去の伝習に対して、何歩か歩み出された考えかたである。けれども、単純に男と女とがかりに平等であったとして、それで社会の幸福と女の幸福とは創り出されて行くものだろうか。かりに男八時間女八時間の社会的な勤労に対して、男と女とが一銭の差のない報酬を獲る社会があったとして、ではそれでそこには欠けることない両性の明るくゆたかな生活が創られているといえるのだろうか。

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