結婚論の性格
本文約8,000字 ・ 読了時間 約16分
あらすじ(AIが作成しました)
早婚や優生結婚が奨励され、子供を生むことが結婚の目的として強調される現代の風潮を考察する。本来、人間らしい結びつきとは夫婦の深い理解と協力に基づくものであり、子供を持つことはその結果に過ぎない。本作は、肉体的な条件だけでなく、共に成長し合う精神的な愛の経営としての結婚の意義を説き、女性が母として社会に対し主体的に関わり、真に人間的な生活を築くことの重要性を論じる。
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この頃は、結婚の問題がめだっている。この一年ばかりのうちに、私たち女性の前には早婚奨励、子宝奨励、健全結婚への資金貸与というような現象がかさなりあってあらわれてきている。そして、どこか性急な調子をもったその現象は、傍にはっきり、最後の武器は人口であるという見出しを示すようにもなって来ている。
女性のうちの母性は、天然のめざめよりあるいはなお早くこの声々に覚醒させられているようなけはいがある。若い女性たちの関心も結婚という課題にじかに向かっていて、婦人公論の柳田国男氏の女性生活史への質問も、五月号では「家と結婚」をテーマとしている。
若い女性の結婚に対する気持が、いくらかずつ変化して来ていると感じたのは、すでにきのう今日のことではない。去年、ある婦人雑誌が、専門学校を出て職業をもっている女性たちを集めて座談会をした。そのときやはり結婚問題が出た。そしたら、出席していた若い女性の一人が、自分には結婚というものがまだよくわからない。お友達にきいたらば、よい子供を生むために結婚はされるのだといったけれども、と語っていた。
当時その記事を読んでさまざまの感想にうたれたのは私一人でなかったろうと思う。専門教育をうけて、大学の研究室で何か仕事をもっている女性といえば、日本の知識ある若い婦人として代表的な立場にいるとすべきであろう。そのひとが、年齢やいろいろの関係から、結婚というものがよく分らない、というのは娘さんらしい自然さとして素直にうなずける。けれども、結婚と子供とをいきなり結びつけてそれを目的のようにいう感覚も、何かこれまでの若い女性の神経にはなかったことだと感じられた。それにそのひとは、自分の感情に結婚はまだわかっていないから、分るまで待って結婚したいと思っているのではなくて、いずれ両親の見出してくれる適当な配偶者と結婚するだろうということは明言しているのであった。