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TORENDIA

家庭創造の情熱

本文約2,700字 ・ 読了時間 約6分

あらすじ(AIが作成しました)

結婚生活を始めようとする若い世代が抱く、より良い家庭を築きたいという願望と、それに立ちはだかる複雑な現実を論じる。先代の生活に疑問を持ちつつも、具体的な実行には社会的な歴史や個々の性格が絡み合い、多くの困難が伴う。現代の動乱の中で、個人の愛や善意だけでなく、不測の事態に屈しない強い意志と理性的な協力こそが、真に向上し続ける夫婦関係を支える鍵となることを、生活の知恵と歴史的展望から説く。

宮本百合子

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🎧 家庭創造の情熱 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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すこし物ごとを真面目に考える今日の世代の若い人たちが、自分たちの結婚生活に入ろうとするとき、生涯向上する情熱を喪わない夫婦として生きたいと願わない人はおそらくないだろうと思う。

この願いは、或る意味では良人になろうとする青年よりも却って妻になろうとする若い女性たちの心に、一層痛切に感じられていることだとも云えるだろう。若い女性たちは、まだそれが自分の現実とはなっていない母たちや姉たちの明暮を、おのずからうける様々の感想をもって眺め、どっさりの「自分はああ暮したくない」という問題をうけとっているのが普通と思える。「私はああ暮したくない」何とそれははっきりとして強い訴えと抗議であろう。より若い世代の誇りとしてその感情は自分にも肯定されているのだけれど、実際として、さて、ではどういう生活をしたいか、という具体的な問題に入って来ると、そこにはまた愕くばかりに沢山の未解決なものがある。自分ひとりだけではどうにもしようのないことが後から後からある。何故なら、結婚生活ではいつでも良人は妻を、妻は良人をとび越してものを考えることも実行することも出来ないから。いつも何かの形での協力の生活でなくてはならないのだから。云ってみれば、お互いがお互いから切りはなして考えたことは、それが健全なよりよい方向であってさえも、結婚生活の現実の中に実を結んでゆく善き花となって咲き出さない場合さえ多いのである。

しかも、一人の若い男、一人の若い女という単純そうな姿の中に、実に複雑なその人々の成長して来た国の社会の色や響、その社会の中のどういうところにその家庭は属していたかというところから身につけられている種々の精神と肉体との特徴、更にその青年や女性が自分たちの時代として経て来た歴史の性格などがそれとこれとをきりはなして篩にはかけられないような溶け合いかたで刻々に躍動している。

良人となる青年がそれだけ念の入った複合体であると同様に妻となる女性も、彼女の或は無心な情緒の奥にそれだけの因子をちゃんとしまっているわけである。

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