TORENDIA
隣室の客
長塚節
TORENDIA
隣室の客
本文約31,700字 ・ 読了時間 約64分
あらすじ(AIが作成しました)
利根川北方の小さな村で育った主人公は、病気による孤独な療養生活を経て、同地に赴任してきた教師の家族である女性と関係を持つ。やがて女性の妊娠が発覚し、母の助力を得て平穏を取り繕う。その後、避難先の平潟の宿で隣室に滞在した別の女性の去就に心を乱しつつ、自身の過去の陋劣な行為を振り返り、平穏な日常の裏に隠された罪悪感と、不可解な女性への思慕を綴る。
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一
私は品行方正な人間として周囲から待遇されて居る。私が此所にいふやうな秘密を打ち明けても私を知つて居る人の幾分は容易に信じないであらうと思はれる。秘密には罪悪が附随して居る。私がなぜそれを何時までも匿して居ないかといふのに、人は他人の秘密を発くことを痛快とすると同時に自分の隠事をもむき出して見たいやうな心持になることがある。そこには又微かな興味が伴ふのである。