戦争はわたしたちからすべてを奪う
本文約12,400字 ・ 読了時間 約25分
あらすじ(AIが作成しました)
第二次世界大戦後の占領下にある日本において、婦人の社会的自覚や生活の安定を脅かす戦争の危機について論じる。封建的な悪習と資本主義の矛盾が社会に蔓延する中、男女が互いに扶け合い、平和を求める世界の人民と連帯することの重要性を説く。権力によって戦争へ動員される危険性に抵抗し、平和を現実的な歴史の課題として捉え、自らの生命と人間の可能性を守り抜くための闘いと決意を力強く綴る評論である。
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この一冊の本は、わたしたちに何を告げ、何を教えているだろう。この本のあらゆる頁が語っている。女性が、封建社会から近代資本主義社会へと、人間らしい生活を確保しようとしてたたかって来たたたかいは、どのように複雑であり、かつ歴史の長い時期にわたった事業であるかということを。そして、女性も人間であろうとするそのたたかいは、十九世紀から二十世紀のはじめにかけての、男子に対する婦人の権利の拡張(女権運動)から発展して、こんにちでは、世界各国の人民男女として、男女が互に扶け合い、生活関係と政治を、より多数のものの幸福のために運営する可能を見出してゆこうとする時期に到達していることを、この本の各項の研究と報告とが告げているのである。
したがって、きょうのわたしたちは、単なる婦人運動者であり得ないし、婦権獲得運動者でもあり得ない。自分ひとりの幸福についても、考えつめてゆくと、その願いにつながって日本全体の幸福の問題が浮び上って来ずにはいない。日本の幸福ということを考えたとき、そこにはいや応ない世界の現実として、アジアにかかわる世界のそれぞれの勢力と日本との関係というものについても、思いをやらずにはいられない。
第二次世界大戦によって、日本のファシズム権力がわれわれの運命に加えた破壊力は激しくて、日本の女性が自分ひとりとしてはつましくのぞんでいる片隅の幸福さえも、世界歴史の大通りの上で吹きさらされていることが誰にも実感されて来ている。