○○獣
本文約21,000字 ・ 読了時間 約42分
あらすじ(AIが作成しました)
深夜の大東京、銀座裏のビルに住む少年敬二は、クラスで聞いた宇宙から来た未知の生物への恐怖を抱えながら眠れぬ夜を過ごす。やがて窓の外の空地に、土を盛り上げ出現した異様な発光体を目撃する。敬二はその正体を突き止めようと深夜の探険へ向かう。その後、地球の深部を潜り抜けた宇宙の星雲の断片が引き起こす、正体不明の生物との遭遇と、それがもたらす予期せぬ衝撃的な事態を描く。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
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眠られぬ少年
深夜の大東京!
まん中から半分ほど欠けた月が、深夜の大空にかかっていた。
いま大東京の建物はその青白い光に照されて、墓場のように睡っている。地球がだんだん冷えかかってきたようで、心細い気のする或る秋の夜のことだった。その月が、丁度宿っている一つの窓があった。その窓は、五階建ての、ネオンの看板の消えている、銀座裏の、とある古いビルディングの屋上に近いところにあって、まるで猫の目玉のようにキラキラ光っていた。
もし今ここに、羽根の生えた人間でもがあって、物好きにもこの窓のところまで飛んでいったとしたら、そしてその光る硝子窓のなかをソッと覗いてみたとしたら、そこに一人の少年が寝床に横わったまま、目をパチパチさせて起きているのを発見するだろう。敬二――といった。その少年の名前である。
大東京の三百万の住民たちは今グウグウ睡っているのに、それに大東京の建物も街路も電車の軌道も黄色くなった鈴懸けの樹も睡っているのに、それなのに敬二少年はなぜひとり目を覚ましているのだろうか。
「本当にそういうことがあるかも知れないねえ――」
と、敬二は独り言をいった。なにが本当にあるかも知れないというのだろうか。
「――原庭先生が嘘をおっしゃるはずがない」少年は、何かに憑かれたように、誰に聞かせるとも分らない言葉を寝床の中にくりかえした。
少年を、この深夜まで只ひとり睡らせないのは、ひるま原庭先生がクラスの一同の前でなすった、一つの奇妙なお話のせいであった。
では、そのお話とは、どんなものであったろうか。――