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TORENDIA

選挙に対する婦人の希望

本文約7,200字 ・ 読了時間 約15分

あらすじ(AIが作成しました)

政治的権利を制限されている婦人の立場から、現代の政治家が党利党略に終始する現状を批判し、理想的な代議政治の在り方を論じる。政権の争奪を目的とする既成政党や官僚主義を排除し、選挙民一人ひとりが候補者の政見を理性的に批判する重要性を説く。国民の代表を選ぶ際には、候補者の徳操や男女道徳の実践を重視すべきであると主張し、主権者としての自覚と自由思想に基づいた政治参加の在り方を綴る。

与謝野晶子

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🎧 選挙に対する婦人の希望 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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私は少しばかり政治について所感を述べようと思います。私たち婦人は憲法の上でこそ男子と同等の権利を持った個人ですが、専ら男子に由って作られた法律の上では憲法と矛盾して、不合理にも、単に女性であるからという理由だけで私たちの生存に必要ないろいろの権利を制限されております。以前のように依頼主義と屈従主義とに甘んじていた婦人と異い、個人としての自己の欲望の尊厳と、自己の能力の無限とを信ずる今日の婦人にあっては、次第に男女間の権利の偏頗が苦痛の種となります。

私たちは市区町村会議員の選挙権及び被選挙権すら持っておりません。私たちは自分の労力の結果を割いて公共生活のために納めている直接間接の租税がどのようにして全日本人の生活の幸福を増進するために運用されているかを知ることさえ出来ないのですから、ましてそれを如何に運用すべきかについて男と共に討議する公の機関に参与することの出来ないのはいうまでもありません。甚だしきは未成年の男子と同じく、政治に関する演説及び集会を催すことすら禁じられております。世界の女権論がわざわざ新奇な要求を提出するのでなくて、全く失われた婦人の権利の回復を意味するものとして唱えられる所以はここにあります。しかし女子自身さえまだ普通選挙制を建て得ないような我国の現状では、婦人が欧米の女権論者の主張のように早くも参政の権利を要求することは穏健な行動でなかろうと思います。それに我国の婦人はまだ政治以外の問題についてさえ団体運動に慣れておりません。女権回復の運動は団体運動であることを必要とします。私は日本婦人の現在の知識及び勇気の程度に考えてまだ暫く団体運動の成立つ時機ではなかろうと思っております。

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