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TORENDIA

鑑定

本文約1,300字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

三円で購入した果亭の山水画を巡り、周囲から贋物と軽蔑された筆者が、書画における鑑定の不確実性と真贋に左右されない趣味の独立性を論じる。鑑定家が頼りとする直覚の限界を指摘し、良心的な鑑定が困難な中間色の作品の存在を提示する。筆者は世俗的な価値観にとらわれず、自身の感性で無名の天才を愛でる姿勢を貫き、真贋の差別に煩わされない清興を主張する随筆である。

芥川龍之介

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🎧 鑑定 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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三円で果亭の山水を買つて来て、書斎の床に掛けて置いたら、遊びに来た男が皆その前へ立つて見ちや「贋物ぢやないか」と軽蔑した。滝田樗陰君の如きも、上から下までずつと眼をやつて、「いけませんな」と喝破してしまつた。が、こちらは元来怪しげな書画を掘り出して来る事を以て、無名の天才に敬意を払ふ所以だと心得てゐるんだから、「僕は果亭だから懸けて置くのぢやない。画の出来が好いから懸けて置くのだ」と号して、更に辟易しなかつた。けれどもこの山水を贋物だと称する諸君子は、悉くこれを自分の負惜しみだと盲断した。のみならず彼等の或者は「兎に角無名の天才は安上りで好いよ」などと云つて、いやににやにや笑ひさへした。ここに至る以上自分と雖も、聊か三円の果亭の為に辯ずる所なきを得ない。

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