蟹のしょうばい
本文約970字 ・ 読了時間 約2分
あらすじ(AIが作成しました)
床屋を始めた蟹は、客が来ないため海辺や山へ出向く。昼寝をしていた蛸には毛がないため断られるが、山で出会った狸からは、その父の毛も刈るという条件で散髪を請け負う。全身毛むくじゃらの狸に三日間かけて挑む蟹は、父が山ほど大きいという言葉を聞いて驚く。自分一人では対応できないと考えた蟹は、子や孫までも床屋にして対応しようと試みる。蟹がハサミを持つ理由と床屋としての営みを綴る。
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蟹がいろいろ考えたあげく、とこやをはじめました。蟹の考えとしてはおおできでありました。
ところで、蟹は、
「とこやというしょうばいは、たいへんひまなものだな。」
と思いました。と申しますのは、ひとりもお客さんがこないからであります。
そこで、蟹のとこやさんは、はさみをもって海っぱたにやっていきました。そこにはたこがひるねをしていました。
「もしもし、たこさん。」
と蟹はよびかけました。
たこはめをさまして、
「なんだ。」
といいました。
「とこやですが、ごようはありませんか。」
「よくごらんよ。わたしの頭に毛があるかどうか。」
蟹はたこの頭をよくみました。なるほど毛はひとすじもなく、つるんこでありました。いくら蟹がじょうずなとこやでも、毛のない頭をかることはできません。
蟹は、そこで、山へやっていきました。山にはたぬきがひるねをしていました。
「もしもし、たぬきさん。」
たぬきはめをさまして、
「なんだ。」
といいました。
「とこやですがごようはありませんか。」
たぬきは、いたずらがすきなけものですから、よくないことを考えました。
「よろしい、かってもらおう。ところで、ひとつやくそくしてくれなきゃいけない。というのは、わたしのあとで、わたしのお父さんの毛もかってもらいたいのさ。」
「へい、おやすいことです。」
そこで、蟹のうでをふるうときがきました。
ちょっきん、ちょっきん、ちょっきん。
ところが、蟹というものは、あまり大きなものではありません。蟹とくらべたら、たぬきはとんでもなく大きなものであります。その上たぬきというものは、からだじゅうが毛むくじゃらであります。ですから仕事はなかなかはかどりません。蟹は口から泡をふいていっしょうけんめいはさみをつかいました。そして三日かかって、やっとのこと仕事はおわりました。
「じゃ、やくそくだから、わたしのお父さんの毛もかってくれたまえ。」
「お父さんというのは、どのくらい大きなかたですか。」
「あの山くらいあるかね。」
蟹はめんくらいました。そんなに大きくては、とてもじぶんひとりでは、まにあわぬと思いました。