TORENDIA
困惑の弁
太宰治
TORENDIA
困惑の弁
本文約3,900字 ・ 読了時間 約8分
あらすじ(AIが作成しました)
文豪を志し青雲の志を抱く読者を対象とした雑誌からの執筆依頼に対し、自身を未熟な作家と卑下する著者が感じる困惑を綴る。執筆者としての矜持や世間知らずな失敗、読者への想いを語りつつ、自身の愚かな苦労を反面教師として掲げ、読者へ現実的な生活の知恵や忠告を送る姿勢を描く。偉大な文学者を目指す若者たちの純粋な希望を尊重し、自らを軽蔑する読者に対し、あえて高尚ではない具体的な指針を真摯に語る様子を収めている。
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🎧 困惑の弁 / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう
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正直言うと、私は、この雑誌(懸賞界)から原稿書くよう言いつけられて、多少、困ったのである。応諾の御返事を、すぐには書けなかったのである。それは、私の虚傲からでは無いのである。全然、それと反対である。私は、この雑誌を、とりわけ卑俗なものとは思っていない。卑俗といえば、どんな雑誌だってみんな卑俗だ。そこに発表されて在る作品だって、みんな卑俗だ。私だって、もとより卑俗の作家である。他の卑俗を嘲うことは私には許されていない。人おのおの懸命の生きかたが在る。それは尊重されなければいけない。