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TORENDIA

マーカス・ショーとレビュー式教育

本文約8,800字 ・ 読了時間 約18分

あらすじ(AIが作成しました)

日本劇場で公演されたアメリカのレビュー団「マーカス・ショー」を観劇した筆者が、その急速なテンポで展開される舞台の構造を、現代の教育制度や教科書のあり方と比較して論じる。伝統的な統一感のある教育に対し、盛りだくさんで無意味な刺激を詰め込む現代の教育プログラムを「レビュー式」と定義。情報の過剰摂取による消化不良を危惧し、節制と取捨選択の重要性を説く随筆。

寺田寅彦

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アメリカのレビュー団マーカス・ショーが日本劇場で開演して満都の人気を収集しているようであった。日曜日の開演時刻にこの劇場の前を通って見ると大変な人の群が場前の鋪道を埋めて車道まではみ出している。これだけの人数が一人一人これから切符を買って這入るのでは、全部が入場するまでに一体どのくらい時間が掛かるかちょっと見当がつかない。人ごとながら気になった。

後に待っている人のことなどはまるで考えないで、自分さえ切符を買ってしまえばそれでいいという紳士淑女達のことであるから、切符売子と色々押し問答をした上に、必ず大きな札を出しておつりを勘定させる、その上に押し合いへし合いお互いに運動を妨害するから、どうしても一人宛平均三十秒はかかるであろう。それで、待っている人数がざっと五百人と見て全部が入場するまでには二百五十分、すなわち、四時間以上かかる。これは大変である。

こんな目の子勘定をして紳士淑女の辛抱強いのに感心する一方では自分でこの仲間にはいろうという勇気を沮喪させていた。

ある日曜日の朝顕著な不連続線が東京附近を通過していると見えて、生温かい狂風が軒を揺がし、大粒の雨が断続して物凄い天候であった。昼前に銀座まで出掛けたら諸所の店前の立看板などが吹き飛ばされ、傘を折られて困っている人も少なくなかった。日本劇場の前まで来て見ると、さすがに今日はいつもの日曜とちがって切符売場の前にはわずかに数人の人影が見えるだけであったので急に思い付いて入場した。

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