明治開化 安吾捕物帖
本文約680字 ・ 読了時間 約2分
あらすじ(AIが作成しました)
勝海舟を訪ねる結城新十郎が、明治開化期に起こる難事件の真相を追いかける姿を描く。物語は主に事件の概要と推理の過程で構成され、海舟が思考を巡らせる一方で、新十郎が手腕を発揮する。本格的な推理小説の形式を踏襲しつつ、読者が自ら推測を楽しむ娯楽性を備えており、海舟の推理が失敗する様を交えながら、明治の知の巨人と探偵が織りなす軽快な解決劇を綴る。暇つぶしとして気楽に推理しながら読むことを想定した連作形式の捕物帖である。
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この捕物帖はたいがい五段からできています。第一段は虎之介が海舟を訪ねて事件の説明にかかること。(但し、この段は省くことがあります。)第二は事件の説明。第三は海舟が推理のこと。第四段は新十郎が犯人を見つけだすこと。第五段は海舟が負け惜しみを云うこと。以上のうち第二段がほぼ全体の六分の五をしめ、全部が六十枚なら、この段に五十枚、他は全部を合せても十枚ぐらいで、これが解決です。
捕物帖のことですから決して厳密な推理小説ではありませんが、捕物帖としては特に推理に重点をおき、一応第二段に推理のタネはそろえておきますから、お慰みに、推理しながら読んでいただいたら退屈しのぎになるかも知れません。作者はそんなツモリでこの捕物帖をかいているのです。第三段の海舟が心眼を用いるところで本をふせて一服しながら推理することに願います。海舟は毎々七分通り失敗することになっていますが、今までの探偵小説では、偉い探偵の相棒にトンマな探偵が現れて大マチガイの推理をはたらかせてあんまりバカすぎたようです。よんでいる方でも、自分の推理が当らないと、トンマな探偵氏と同じようなトンマに見えて自分がイヤになるのが通例ですが、海舟という明治きっての大頭脳が失敗するのですから、この捕物帖の読者は推理が狂っても、オレもマンザラでないなと一安心していただけるでしょう。そこでメデタシ、メデタシ、というのが、この捕物帖です。
皆さんのオヒマの折のお友達というようなお役に立てたらと考えて書いた捕物帖ですから、楽な気持で推理をたのしみながら愛読をたまわれば幸甚です。
昭和二十八年二月二十六日
安吾生
完