独断一束
本文約990字 ・ 読了時間 約2分
あらすじ(AIが作成しました)
思想や芸術、時代の変遷、批評、そして身近な対話といった多様な主題を収める。機智に富んだ近代日本の姿を捉え、芸術の本質を遊戯や批評という視点から考察する。また、親子間の対話形式を用いて人間の死生観や日常の葛藤を鋭く切り取り、知性と感情の対立や調和を問い直す。著者が抱く独創的な視点や鋭い批評精神が随筆的な形式で語られ、文芸や社会に対する深い洞察が全編にわたって展開される。
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思想
芸術としての思想の魅力は、芸術家が、その思想を、軽く掌の上にのせてゐる時にのみ、われわれの心を動かす。
時代意識
時代意識がない、それで、その作品に、なにか大事なものが欠けてゐるやうに思ふのは、創作を深呼吸と間違へてゐるのだ。
健康な小児の、静かな寝息がわからないか。
慌てまいぞ、藪医者!
去年の星は、断じて、今年の星ではない――真面目に。
近代の日本
機智が重い靴を穿き、フアンテジイが片肌を脱ぎ、下らないことをむきになつて下らながる近代の日本。
喜劇
喜劇のわからないことは最も喜劇的である――悲劇のわからないことが、屡々最も悲劇的であるやうに。
遊戯
芸術は遊戯に非ずと云ふもの、遊戯も亦芸術たり得る論理を知らなければならない。
鑑賞
知つてゐることしか解らない――これが俗衆の「眼」である。
文芸の鑑賞は、もう一歩先から始まる。
新しいもの
旧いところがある、かう云つて新しいものを貶さうとする。
新しいところがある、と云つて、旧いものが貶せるか。
頭と心
頭で書くのがいけないさうである。
心は、それを聞いて、悲しむだらう。さもなければ、怒るだらう。
頭と心とは、それほど別々なものではない。
ある種の批評家に
――金を出せ。
――やる金はない。
――着物を脱げ。
――おれは裸でゐなければならない。
――貴様はおれの持たないものを持つてゐる。貴様はおれに何かを寄越す義務がある。
――何かを……それはわかつてゐる。だから、おれは、こんなに笑つてゐるぢやないか、泣きたいほどだのに。
「人生よ」と叫ぶ若き作家に
――大丈夫ですよ、お母さん、××博士が、きつと治すと云ひました。
――いゝや、今度は駄目だ。
――駄目ぢやありません。
――今年は、お父さんの三年忌だ。
――此の××日です。
――×月××日……お前は知らないんだね、三年忌には仏が迎へに来るといふことを……。
――仏……お父さんがですか。
――あたしは、どうしても、まだ死にたくない。
――お母さん、その涙を拭きませう。(心の中にて)父上よ、耳を塞いでゐて下さい。
わが二三の読者に
――お父ちやん、遊ばない。
――何にして。
――ピンポン。