本文へ移動
TORENDIA

棄権

本文約290字 ・ 読了時間 約1分

※本文が短いため「あらすじ」は省略いたします。

岸田國士

速度
🎧 棄権 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 1

今度の芥川賞の銓衡には、私は選者としての任務を果すことができなかつた。

私が東京に在住してゐないため、事務的な連絡が思ふやうにとれなかつたからでもあるが、候補作品を受けとつてから委員会が開かれるまでの短時日に、折あしく健康を害しどうしてもその作品の全部に眼をとほす暇がなかつたため、私は、自分の意見を述べることを差控へざるを得なかつたのである。

しかし、どんな理由があつたにせよ、二回開かれた委員会のいづれにも出席できなかつたのは、私のやゝ勝手な都合であつて、これは委員の一人として怠慢のそしりをまぬかれない。

さういふわけで、今度だけは、責任をもつて選評を書く資格が私にはないのである。

完

岸田國士の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本