支那の古代法律
本文約70,300字 ・ 読了時間 約141分
あらすじ(AIが作成しました)
日本の過去を回顧する中で重要となる支那の古代文化を主題とし、その一つである法律について論じる。特に二千三百年前に編纂された『法経六篇』を成文法の源流と位置づけ、その伝統が後の法制に与えた影響を解説する。また、当時の唐律における親に対する罰則と日本の養老律や明治期の法との比較を通じ、国体の基礎である家族主義と孝道の重要性を説く。さらに、現代社会における孝道の衰微を憂い、その維持を提言する。
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一 緒言
私の講演題目は「支那の古代法律」と云ふのであります。今日から見ますとやや時代離れをして居つて、現代生活には關係がないようにも考へられますが、必ずしもさうではないと思ひます。此頃、いろいろ新しい思想が日本に入つて來て居りますが、新しい思想が盛んに行はれて來ると、當然その反動として自國の囘顧と云ふ事が行はれる。既に日本などにもさう云ふ氣分が見えて來て居りまして、或は國粹會、或は建國會、近頃では東京に國史囘顧會と云ふやうなものも出來て居ります。又いろいろ教育界方面の希望もあつて、國史の教授を盛んにする氣運も動き、また確か今年あたりから、これ迄高等文官の試驗にも今迄に無かつた日本の法制史といふ新科目をも加へることになつて居ります。日本の過去を囘顧して、日本と云ふ國はさう外國の眞似ばかりもして居れぬ、日本の國の特質をも考へなければならぬと、さうした自省が行はれますと、當然、支那の古代の文化と云ふことに觸れて來るのであります。
それは云ふ迄もなく日本の過去が支那の文化とは離るべからざる密接な關係をもつて居つたからであります。かう考へて來ますと、今私の講演の題になつて居る「支那の古代法律」と云ふことも、これ亦、支那の過去の文化の一つでありまして、日本の現代の思潮と――幾分間接ではあるが――無關係ではないやうに思はれるのであります。