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TORENDIA

自画像

本文約2,200字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

無口で陰鬱、常に周囲へ不平を抱く農村出身の男が、自身の性格や生活を客観的な視点で綴る。都会生活に馴染めず、周囲の醜悪な面ばかりを観察しては不満を漏らす一方、自身の野心や小心さ、田舎者ゆえの素朴さとずるさを併せ持つ。物語の中で残虐な情景を好んで描く作家としての側面や、役に立たない玩具作りに執着する器用な一面を明かし、農村で生きるべきか都会で模索すべきか、自身の矛盾する内面と矛盾に満ちた日常を浮き彫りにする。

黒島傳治

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🎧 自画像 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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なか/\取ッつきの悪い男である。ムッツリしとって、物事に冷淡で、陰鬱で、不愉快な奴だ。熱情なんど、どこに持って居るか、そんなけぶらいも見えん。そのくせ、勝手な時には、なか/\の感情家であるのだ。なんでもないことにプン/\おこりだす。なんにでも不平を持つ。かと思うと、おこって然るべき時に、おこらず、だまってにやけこんで居る。

どんなにいゝ着物をきせても、百姓が手織りの木綿を着たようにしか見えない。そんな男だ。体臭にまで豚小屋と土の匂いがしみこんで居る。「豚群」とか「二銭銅貨」などがその身体つきによく似合って居る。ハイカラ振ったり、たまに洋服をきて街を歩いたりしているが、そんなことはどう見たって性に合わない。都会人のまねはやめろ!

なんと云っても、根が無口な百姓だ。百姓のずるさも持って居る。百姓の素朴さも持って居る(と考える)。百姓らしくまぬけでもある。そのくせ、ぬけめがないところもあるんだ。このせち辛い世の中に、まるで、自給自足時代の百姓のように、のんきらしく、──何を食って居るのかしらんがともかく暮して居る。

まあ、農村からひょっくり東京見物に出てきた、猫背の若年寄を想像せられたい。尻からげをして、帯には肥料問屋のシルシを染めこんだ手拭をばさげて居る。どんなことを喋って居るか、それは、ちょっと諸君が傍へ近よって耳を傾けても分らんかもしれん。──小豆島の言葉をそのまままる出しに使っとる。彼に云わせりゃ、なんにも意識して使って居るんではない。笑われてもひとりでに出て来るから仕ようがない。

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