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TORENDIA

田舎から東京を見る

本文約1,500字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

田舎暮らしを続ける中で東京から距離を置いた著者が、自身の生活の変化と、遠くから眺める東京の文学状況について綴る。醤油工場や農耕に従事する村の多様な現実を目にする一方、雑誌や新聞を通じて知る東京の文学の流行は、物質的根拠に欠け移ろいやすいものに映る。かつての文学の重要性や労働者の苦境が変わらぬ中、流行に左右されず足元の現実を見つめる視点から、プロレタリア文学の在り方と田舎に身を置く者の感慨を論じる。

黒島傳治

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🎧 田舎から東京を見る / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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田舎から東京をみるという題をつけたが本当をいうと、田舎に長く住んでいると東京のことは殆ど分らない。日本から外国へ行くと却て日本の姿がよく分るとは多くの海外へ行った人々の繰返すところであるし、私もちょっとばかり日本からはなれて、支那とシベリアへ行ったことがあるが、そのときやはり、日本がよく分るような気がした。しかし東京をはなれて田舎にいるのでは、その筆法は、あてはまらないような気がする。

田舎へきて約半年ばかりは、東京のことが気にかかり東京の様子や変遷を知り進歩に遅れまいと、これつとめるのであるが、そのうちに田舎の自分に直接関係のある生活に心をひかれ、自分自身の生活の中に這入りこんで、麦の収穫の多寡や、村税の負担の軽重に、喜んだり腹を立てたり、近隣の噂話に耳を傾けて笑ったりするようになる。田舎の生活も決して単調ではない。退屈するようなことはない。私の村には、労働者約五百人から、三十人ぐらいのごく小さいのにいたるまで大小二十余の醤油工場がある。三反か四反歩の、島特有の段々畠を耕作している農民もたくさんある。養鶏をしている者、養豚をしている者、鰯網をやっている者もある。複雑多岐でその生活を見ているだけでもなか/\面白い。このなかに身をひそめているのはひそめかたがあると思われるのである。

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