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TORENDIA

強い賢い王様の話

本文約4,100字 ・ 読了時間 約9分

あらすじ(AIが作成しました)

高い場所へ登ることに異常な執着を持つ王子が、庭で出会った謎の老人に導かれ、魔法で世界中の峻険な山々を巡る体験をする。雲よりも高い頂に置き去りにされた王子は、自身の強情さと向き合い、生き残りを賭けた決断を下す。その後、目覚めた王子は夢と現実の境を越え、高い場所へ挑む際にも必ず安全な下り道を確保する慎重さと知性を身につける。やがて、その強さと賢さによって世界で最も立派な王へと成長していく姿を描く。

豊島与志雄

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🎧 強い賢い王様の話 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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むかし印度のある国に、一人の王子がありました。国王からは大事に育てられ、国民からは慕われて、ゆくゆくは立派な王様になられるに違いないと、皆から望みをかけられていました。

ところが、この王子に一つの癖がありました。それは、むやみに高い所へあがるということでした。庭で遊んでいると、大きな庭石の上に登って喜んでいますし、室の中にいると、机や卓子の上に座りこんでいます。そういう癖がひどくなると、しまいには、後庭の大きな木によじ登ったり、城壁の上に登ったりするようになりました。国王や家来たちは心配しまして、もし高いところから落ちて怪我でもされるとたいへんだというので、いろいろいってきかせましたが、王子は平気でした。ある時なんかは、城の中に飼ってある象の背中に乗って、裏門から町へでて行こうとまでしました。その象がまた、平素はごく荒っぽいのに、その時ばかりは、王子を背にのせたまま、おとなしくのそりのそりと歩いているのではありませんか。

国王はひどく心配しまして、なにか面白い遊びごとをすすめて、王子の気を散らさせるにかぎると思いました。それで、多くの学者たちが集って、いろんな面白い遊びごとを考えだしては王子に勧めました。すると王子はこう答えました。

「高いところからまわりを見おろすのが一番面白い。世の中にこれほど面白いことはない」

どうにも仕方がありませんでした。それで皆は相談して、その癖が止むまでしばらくの間、王子を広い庭に閉じこめることになりました。庭には木も石もなく、ただ平らな地面が高い壁に取り巻かれてるきりでした。王子は朝から夕方まで、この庭の中に閉じこめられまして、どこを見ても、自分があがれるような高いものは、なに一つありませんでした。そして、とうてい登れないほどの高い壁が四方にあるだけ、なおさらつまらなくなりました。いろんな遊びごとを皆から勧められても、王子は見向きもしませんでした。芝生の上に寝ころんで、ぼんやり日を過しました。

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