日記
本文約17,100字 ・ 読了時間 約35分
あらすじ(AIが作成しました)
大正三年、十六歳を迎えた著者が、日々の読書や創作、友人や知人との交流、そして病による伏臥と悲しみを率直に綴った記録。執筆や読書を通して文学の価値や自身の心境を模索する一方で、周囲で起こる死や日常の出来事に直面し、そのたびに揺れ動く若き女性の心情と生の輝きが描き出される。四季の移ろいとともに、自己を見つめ、あくなき向上心と感受性をもって青春時代を生きる姿を詳らかにする。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
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〔大正三年予定行事〕 一月、「蘆笛」、「千世子」完成
〔一月行事予記〕 「蘆笛」、「千世子」完成
To a sky-Lark 訳、
「猟人日記」、「希臘神話」熟読
「錦木」
一月一日(木曜)晴 寒 〔摘要〕四方拝出席 四方拝出席、午後例の如し。
十六と呼ばれなければならないそうだとでも云わなくっちゃあならないほど今日は私にとって不思議な妙てこなものである。きのうと今日と三時間ほどねたばっかりで私は十六になり今までより以上に改良もし進歩もしなくっちゃあならないかと思うと急に私の肩が重くなった様に思われる。口だけでない覚悟をしなければならない私は意味のあるよろこびと微笑とをもって居る幸福だ! 私は自分の心のそこでささやく。
一月二日(金曜)晴 寒 〔摘要〕古橋氏、芝祖母君[#西村千賀子、母方の祖母]、来訪 「リヤ王」、「埋もれた青春」、「伯爵令嬢」 らちもない只嬉しい気持で一日を送った。「リヤ王」を読む。「リヤ王」やその忠臣孝子の間には日本式な孔子の教のつたわってでも居そうな純な感じの好い感情がみなぎって居る日本の史劇の様な――こんな事も思われる。
「埋もれた青春」、その一つ一つに特別な感じと思いをうける、私にはそんなにはなされないほどのものではないけれ共一番始めにある埋れた春の幼い二人の子供の気持には落椿のはかなさといぬはりこの色の様に平凡なものでありながらはなれがたいなつかしみをうけた。「伯爵令嬢」まだ世の中をそんなに知らない私に四方を見廻させる力をもって居る。