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TORENDIA

四月号の創作三つ

本文約450字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

江戸川乱歩の試筆的な「火星の運河」や、小酒井不木の陰惨な「安死術」「秘密の相似」を読み比べ、率直な感想を述べる平林初之輔の文芸時評。

平林初之輔

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🎧 四月号の創作三つ / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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「火星の運河」――江戸川乱歩作。剣術使いがひとりで剣をふり回したり、絵かきが目的なしに線をひいたりするたぐいの、試筆ともいうべきもので、作者自身の「お詫び」言葉のとおりこれはむろん探偵小説ではない。ただ枕の所に大形の天文学書が開いてあって、そこに火星の想像図が描かれていたところなどに探偵小説の型が痕跡をとどめている。サイコアナリシスの実例にはふさわしいものである。

「安死術」「秘密の相似」――小酒井不木作。どちらも陰惨な作だ。ことに、「秘密の相似」の方は、あまり陰惨すぎるように思う。二人とも網膜炎であったところでとめといた方が、ユーモラスな味があったではなかろうか。女の復讐が必要以上に惨酷で、作者としてはくどいように思うが。「安死術」の方も継子いじめがあまりに深刻で、『先代萩』の政岡の場でも見るような印象を与えられる。「安死術」というような新しい名前には新しい犯罪がつりあうように思うが、これは僕一人の考えかもしらん。まだこれだけしか読めないのです。

(『新青年』第七巻第六号、一九二六年五月)

完

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