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TORENDIA

探偵戯曲 仮面の男

本文約16,400字 ・ 読了時間 約33分

あらすじ(AIが作成しました)

実業家青木健作は、園遊会を話題にするため自ら仮面強盗を演じる計画を立てる。しかし、当日会場に本物の強盗が現れ、妻久子たちは混乱する。正体は新聞記者の東山一雄であり、彼は金持ちから宝石を奪い貧者へ分配する行為を繰り返していた。面をかぶることで別の人格へと変貌する葛藤を抱えながら、法と良心の狭間で生きる男の姿を描く。

平林初之輔

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人物

青木健作    富豪

久子      青木夫人

芦田義資    警視庁探偵

牧       芦田の腹心の警部補

東山      亜細亜新聞社会部長

書生

正木夫人

島村夫人

塩田夫人

ある富豪

文枝      ある富豪の娘、東山の許嫁

女中

園遊会の客男女多勢、警官多勢

第一幕 第一場

成金実業家青木邸の主人の居間、室内の家具、装飾等卑俗なくらいにけばけばしい洋室である。主人青木健作は安楽椅子に沈みこんでシガーをふかしている。四十歳前後の、成り上がり者らしいタイプ。幕開くとすぐに左手の扉を開けて夫人久子がはいってくる。二十六七歳位の派手なつくり。ともにふだん着の和服姿である。

久子――ねえ、あなた、わたしいいことを思いついたわ。(椅子にかける)

健作――何だい、そんなにあわてて?

久子――さっきも、あなた仰言ったでしょう、何とかして明日の園遊会を世間にぱっと吹聴させる方法はないものかって。

健作――そうだせっかく費用をかけて園遊会を開いておきながら、ちっとも世間の話題にならぬようじゃその甲斐がないからね。今どき算盤珠のとれぬ仕事なんざ馬鹿々々しくてやれんからな。

久子――それについて妾いいことを考えついたの。きっと東京じゅうの新聞が大騒ぎするわ。

健作――莫迦な。東京の新聞記者は事件には食傷している。我々の園遊会の記事なんざ、どんなに手をまわして運動したって、六号活字で二三行書いてくれるのが関の山だ。

久子――そりゃただ青木邸で園遊会があったというだけなら、三流新聞の記者だって見向きもしないことは、わかってるわ。

健作――では、どうするというんだ?

久子――そこにトリックをつかうんですよ。でもことわっておきますが、それにはあなたに主役をつとめていただかなくちゃならないのよ。

健作――そりゃ、家のためになることなら、わしも一肌ぬがぬこともない。どうしろというんだね?

久子――あなた近頃新聞を読んでいらっしゃるわね?

健作――むろん新聞はよんどる。

久子――いま東京じゅうの新聞が一番大騒ぎしている事件は何だとお思いになって?

健作――そうだな、支那問題かな、それとも市会議員の問題かな。

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