TORENDIA
俳諧師
岡本綺堂
TORENDIA
俳諧師
本文約12,500字 ・ 読了時間 約26分
あらすじ(AIが作成しました)
元禄の末年、雪降る浪花のわび住居に住む俳諧師鬼貫は、困窮の極みに達し、娘のお妙と親子二人で飢えに苦しんでいる。焚き物にも事欠く厳しい冬の夜、隣人の助けを借りて寒さを凌ぐなか、かつての知人である俳諧師の路通が訪れる。生活苦から死を覚悟した親子と、己の道を突き進む路通との対話を通じて、鬼貫は生きることへの新たな心境を見出し、再び未来を模索し始める。極限状態にある親子の葛藤と、俳諧師たちの交流を描いた一幕。
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登場人物
俳諧師鬼貫
路通
鬼貫の娘お妙
左官の女房お留
[#改ページ]
元祿の末年、師走の雪ふる夕暮。浪花の町はづれ、俳諧師鬼貫のわび住居。軒かたむき縁朽ちたる破ら家にて、上の方には雪にたわみたる竹藪あり。下の方の入口には低き竹垣、小さき枝折戸あり。となりは墓場の心にて、矢はり低き竹垣をへだてゝ其内に雪の積りたる石塔又は卒堵婆などみゆ。雪しづかに降る。寺の木魚の音きこゆ。
(下の方より近所の女房お留、竹の子笠をかぶりて出づ。)