TRENDIA CLASSIC
露伴の出世咄
内田魯庵
1 / 3
ある時、その頃金港堂の『都の花』の主筆をしていた山田美妙に会うと、開口一番「エライ人が出ましたよ!」と破顔した。
ドウいう人かと訊くと、それより数日前、突然依田学海翁を尋ねて来た書生があって、小説を作ったから序文を書いてくれといった。学海翁は硬軟兼備のその頃での大宗師であったから、門に伺候して著書の序文を請うものが引きも切らず、一々応接する遑あらざる面倒臭さに、ワシが序文を書いたからッて君の作は光りゃアしない、君の作が傑作ならワシの序文なぞはなくとも光ると、味も素気もなく突跳ねた。
すると件の書生は、先生の序文で光彩を添えようというのじゃない、我輩の作は面白いから先生も小説が好きなら読んで見て、面白いと思ったら序文をお書きなさい、ツマラナイと思ったら竈の下へ燻べて下さいと、言終ると共に原稿一綴を投出してサッサと帰ってしまった。
内田魯庵の他の作品
TRENDIA CLASSIC
鴎外博士の追憶
内田魯庵
鴎外博士の追憶
内田魯庵
TRENDIA CLASSIC
温情の裕かな夏
目さん
内田魯庵
温情の裕かな夏目さん
内田魯庵
TRENDIA CLASSIC
犬物語
内田魯庵
犬物語
内田魯庵
TRENDIA CLASSIC
淡島椿岳
内田魯庵
淡島椿岳
内田魯庵
TRENDIA CLASSIC
駆逐されんとす
る文人
内田魯庵
駆逐されんとする文人
内田魯庵
TRENDIA CLASSIC
灰燼十万巻
内田魯庵
灰燼十万巻
内田魯庵
TRENDIA CLASSIC
家庭の読書室
内田魯庵
家庭の読書室
内田魯庵
TRENDIA CLASSIC
斎藤緑雨
内田魯庵
斎藤緑雨
内田魯庵
TRENDIA CLASSIC
青年実業家
内田魯庵
青年実業家
内田魯庵
TRENDIA CLASSIC
三十年前の島田
沼南
内田魯庵
三十年前の島田沼南
内田魯庵
TRENDIA CLASSIC
人相見
内田魯庵
人相見
内田魯庵
TRENDIA CLASSIC
美妙斎美妙
内田魯庵
美妙斎美妙
内田魯庵