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TORENDIA

如何に読書すべきか

本文約11,500字 ・ 読了時間 約23分

あらすじ(AIが作成しました)

読書の習慣と技術について論じる。人生において閑暇を見出し、規則的に読書を継続することで、読書は精神的な技術として身につく。読書には自分自身の気質に適した方法の発明が不可欠であり、濫読を経てその方法に達することや、古典と新刊書の双方を偏りなく摂取することの重要性を説く。さらに、単なる受動的な姿勢ではなく、原典と向き合い、思索を重ねながら発見的に読むことで、読書は著者との対話という本来の悦びをもたらすと述べる。

三木清

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一

先ず大切なことは読書の習慣を作るということである。他の場合と同じように、ここでも習慣が必要である。ひとは、単に義務からのみ、或いは単に興味からのみ、読書し得るものではない、習慣が実に多くのことを為すのである。そして他のことについてと同じように、読書の習慣も早くから養わねばならぬ。学生の時代に読書の習慣を作らなかった者は恐らく生涯読書の面白さを理解しないで終るであろう。

読書の習慣を養うには閑暇を見出すことに努めなければならぬ。そして人生において閑暇は見出そうとさえすれば何処にでもあるものだ。朝出掛ける前の半時間、夜眠る前の一時間、読書のための時間を作ろうと思えば何時でもできる。現代の生活はたしかに忙しくなっている。終日妨げられないで読書することのできた昔の人は羨望に値するであろう。しかし如何に忙しい人も自分の好きなことのためには閑暇を作ることを知っている。読書の時間がないと云うのは読書しないための口実に過ぎない。まして学生は世の中へ出た者に比して遙かに多くの閑暇をもっている筈だ。そのうえ読書は他の娯楽のように相手を要しないのである。ひとはひとりで読書の楽しみを味うことができる。いな、東西古今のあらゆるすぐれた人に接することができるというのは読書における大きな悦びでなければならぬ。読書の時間を作るために、無駄に忙しくなっている生活を整理することができたならば、人生はそれだけ豊富になるであろう。読書は心に落着きを与える。そのことだけから考えても、落着きを失っている現代の生活にとって読書の有する意義は大きいであろう。

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