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TORENDIA

いろいろな花

本文約1,700字 ・ 読了時間 約4分

あらすじ(AIが作成しました)

冬枯れの野原ですみれは小鳥の声に憧れながら散り、その傍らのぼけはすみれの無念を知り、小鳥から聞いたこちょうの姿を夢見ながら散る。季節が巡り、暖かな野でたんぽぽはこちょうと語らうが、そこへ近づく馬の足音にたんぽぽは震える。さまざまな草花がそれぞれの運命を生きる様子と、人間と重なる儚い存在のあり方を、自然の情景を交えて描く物語である。

小川未明

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🎧 いろいろな花 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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さまざまの草が、いろいろな運命をもってこの世に生まれてきました。それは、ちょうど人間の身の上と変わりがなかったのです。

広い野原の中に、紫色のすみれの花が咲きかけましたときは、まだ山の端に雪が白くかかっていました。春といっても、ほんの名ばかりであって、どこを見ても冬枯れのままの景色でありました。

すみれは、小鳥があちらの林の中で、さびしそうにないているのをききました。すみれは、おりおり寒い風に吹かれて、小さな体が凍えるようでありましたが、一日一日と、それでも雲の色が、だんだん明るくなって、その雲間からもれる日の光が野の上を暖かそうに照らすのを見ますと、うれしい気持ちがしました。

すみれは、毎朝、太陽が上るころから、日の暮れるころまで、そのいい小鳥のなき声をききました。

「どんな鳥だろうか、どうか見たいものだ。」と、すみれは思いました。

けれど、すみれは、ついにその鳥の姿を見ずして、いつしか散る日がきたのであります。そのとき、ちょうどかたわらに生えていた、ぼけの花が咲きかけていました。ぼけの花は、すみれが独り言をしてさびしく散ってゆく、はかない影を見たのであります。

ぼけの花は、真紅にみごとに咲きました。そして日の光に照らされて、それは美しかったのであります。

ある朝、ぼけの枝に、きれいな小鳥が飛んできて、いい声でなきました。そのとき、ぼけの花は、その小鳥に向かって、

「ああ、なんといういい声なんですか。あなたの声に、どんなに、すみれさんは憧れていましたか。どうか一目あなたの姿を見たいものだといっていましたが、かわいそうに、二日ばかり前にさびしく散ってしまいました。」と、ぼけの花は、小鳥に向かっていいました。

小鳥は、くびをかしげて聞いていましたが、

「それは、私でない。こちょうのことではありませんか。私みたいな醜い姿を見たとて、なんで目を楽しませることがあるもんですか。」と、小鳥は答えた。

「こちょうの姿は、そんなにきれいなんですか。あなたの姿よりも、もっときれいなんですか。」と、ぼけの花は驚いてききました。

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