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TORENDIA

蝉

本文約410字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

蝉の声だけがある夏のまどろみの中で、とうに死んだ友との対話を夢に見、中国の田舎にあるその墓場を思い浮かべる中原中也の詩。

中原中也

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🎧 蝉 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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蝉が鳴いてゐる、蝉が鳴いてゐる

蝉が鳴いてゐるほかになんにもない!

うつらうつらと僕はする

……風もある……

松林を透いて空が見える

うつらうつらと僕はする。

『いいや、さうぢやない、さうぢやない!』と彼が云ふ

『ちがつてゐるよ』と僕がいふ

『いいや、いいや!』と彼が云ふ

『ちがつてゐるよ』と僕が云ふ

と、目が覚める、と、彼はもうとつくに死んだ奴なんだ

それから彼の永眠してゐる、墓場のことなぞ目に浮ぶ……

それは中国のとある田舎の、水無河原といふ

雨の日のほか水のない

伝説付の川のほとり、

藪蔭の砂土帯の小さな墓場、

――そこにも蝉は鳴いてゐるだろ

チラチラ夕陽も射してゐるだろ……

蝉が鳴いてゐる、蝉が鳴いてゐる

蝉が鳴いてゐるほかなんにもない!

僕の怠惰? 僕は『怠惰』か?

僕は僕を何とも思はぬ!

蝉が[#「蝉が」は底本では「 蝉が」]鳴いてゐる、蝉が鳴いてゐる

蝉が[#「蝉が」は底本では「 蝉が」]鳴いてゐるほかなんにもない!

(一九三三・八・一四)

完

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