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TORENDIA

早春散歩

本文約300字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

晴れていても建物に影の残る早春、まるで異国人のような眼差しで風の中を歩きながら、過去も未来もないかのような淋しさを抱いて春を迎える心情を詠んだ中原中也の詩。

中原中也

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🎧 早春散歩 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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空は晴れてても、建物には蔭があるよ、

春、早春は心なびかせ、

それがまるで薄絹ででもあるやうに

ハンケチででもあるやうに

我等の心を引千切り

きれぎれにして風に散らせる

私はもう、まるで過去がなかつたかのやうに

少くとも通つてゐる人達の手前さうであるかの如くに感じ、

風の中を吹き過ぎる

異国人のやうな眼眸をして、

確固たるものの如く、

また隙間風にも消え去るものの如く

さうしてこの淋しい心を抱いて、

今年もまた春を迎へるものであることを

ゆるやかにも、茲に春は立返つたのであることを

土の上の日射しをみながらつめたい風に吹かれながら

土手の上を歩きながら、遠くの空を見やりながら

僕は思ふ、思ふことにも慣れきつて僕は思ふ……

完

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