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TORENDIA

「椿」序

本文約310字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

箱根への旅の途中で目にした椿の花や、亡き父の遺愛の椿など、身近な椿の印象から、小品集の題を『椿』と定めた経緯を語る序文。

田山録弥

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最近五六年間に書いた小品を集めて『椿』といふのは、別に意味のあることではない。丁度それを輯めようとする頃、椿の花が殊に私の眼に附いたからである。私は丁度其時友人のフランスに立つのを送つて、箱根まで行つた。国府津、酒勾、鎌倉の海岸には、葉の緑に、花の紅い野椿が到る処に咲いてゐて、それが降りしきる雨の中にはつきり見えてゐた。私は南国の春を想像した。椿油の出来る島々のことなどを思つた。それに、私の庭にも、椿の花が多い。父親の遺愛のものなどもある。私が書斎で筆を執つてゐると、をり/\花の落ちる音が重く聞えたりする。春の花の中で椿の花の印象が私にはかなりに多い。で、『椿』といふ名を此輯に得ることになつた。

大正二年四月著者

完

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