TORENDIA
喜劇考
牧野信一
TORENDIA
喜劇考
本文約5,000字 ・ 読了時間 約10分
あらすじ(AIが作成しました)
「喜劇考」は、村から村へ流れ渡る者を意味するKATA-KOMAS、酒に酔い騒ぐ様を指すKOMAZEIN、そしてそれらが転じて喜劇的・喜劇俳優を意味するKOMOIDASという三つの言葉の語源的連関を、自らの放浪体験や、村の仲間たちと「アウエルバッハの酒場」の舞台稽古に挑む中で経験した騒動を交えて綴る随筆である。著者はこれらの言葉の背後にある寂寥感や不安、そして人生の喜劇性を自身の思考と経験から論じる。
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KATA-KOMAS
ドリアン――彼女は私達の愛馬の名前である。私達といふのは、私の『西部劇通信』なる一文中に活躍してゐるその山間での村の私の親愛なる知友達である。あのアメリカ・インヂアンの着物を常住服として勇み立つてゐる――。ドリアンは私達が、水車小屋から何時でも自由に借りることが出来る私の「ロシナンテ」である。ドリアンの他に私達は必要に応じては、馬蹄鍛冶屋のタイキ、野菜市場のワカクサ、タバン・マメイドのペガウサス、蜜柑問屋のホワイト・ローズ、村長家のマーガレツト、牧場のリリイ等と、何時でも勢ぞろひをさせることができる。私達は貧しく、そして野蛮ではあつたが、不平を持つ間がなかつたから村人の間に或種の信用を拍してゐたのである。
近郷近在の村々は祭りの季節に入つて、私の知友連は野良その他の仕事を休み私の部屋を訪れて私に依つて西洋流のダンスを習つてゐたが、あまり毎日/\麗らかな天気が打ち続く故、ひとつ、あの! ――と、私の或るアパートになつてゐる蜜柑林の中の三つのテントを指差して、
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