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TORENDIA

雪の十勝

本文約3,700字 ・ 読了時間 約8分

あらすじ(AIが作成しました)

十勝岳中腹の白銀荘を拠点とする雪の結晶研究の様子を綴る。筆者は顕微鏡写真装置や食料を運んで山小屋に滞在し、雪のコンクリートを利用した実験台で撮影を行う。現地は結晶の種類が豊富で気温も安定しており、研究に最適な環境である。山林監視人の老人から極寒の地で生活するための科学的な知恵を学び、研究の合間にスキーを楽しみながら、雪山での調査と生活を重ねていく過程を記す。

中谷宇吉郎

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🎧 雪の十勝 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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初めは慰み半分に手をつけて見た雪の研究も、段々と深入りして、算えて見ればもう十勝岳へは五回も出かけて行ったことになる。落付く場所は道庁のヒュッテ白銀荘という小屋で、泥流コースの近く、吹上温泉からは五丁と距たっていない所である。此処は丁度十勝岳の中腹、森林地帯をそろそろ抜けようとするあたりであって、標高にして千六十米位はある所である。

雪の研究といっても、今までは主として顕微鏡写真を撮ることが仕事であって、そのためには、顕微鏡は勿論のこと、その写真装置から、現像用具一式、簡単な気象観測装置、それに携帯用の暗室などかなりの荷物を運ぶ必要があった。その外に一行の食料品からお八つの準備まで大体一回の滞在期間約十日分を持って行かねばならぬので、その方の準備もまた相当な騒ぎである。全部で百貫位のこれらの荷物を三、四台の馬橇にのせて五時間の雪道を揺られながら、白銀荘へ着くのはいつも日がとっぷり暮れてしまってからである。この雪の行程が一番の難関で、小屋へ着いてさえしまえば、もうすっかり馴染になっている番人のO老人夫妻がすっかり心得ていて何かと世話を焼いてくれるので、急に田舎の親類の家へでも着いたような気になるのである。

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