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TORENDIA

私の信条

本文約2,000字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

何ごとにつけても抱く考えを信条と定義し、自らの最も大きな信条として、日本の植物を綿密かつ正確に記載・公刊して世界に示し、日本の学術を顕揚することを掲げる。大学総長の浜尾新の支援のもと、精緻な図版と詳細な解説を備えた『大日本植物志』の編纂に一生を捧げる決意で着手する。しかし、周囲の冷遇や嫉妬により刊行は四冊で中断を余儀なくされる。本書はその過程と挫折、そして学術的貢献への変わらぬ矜持を回顧する。

牧野富太郎

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🎧 私の信条 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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何んでもこうしようと思っている考えは大小となく軽重となくいずれも信条である、ですから、人々はたくさんな信条を持っているわけだ、それゆえ信条のない人はおそらく世の中に一人もあるまい。

だが、信条には立派な信条もあればつまらぬ信条もある、偉大な人の信条はこの上もなく立派なものであるのだが、平凡な人の信条はその人のように全く平凡である。

私は凡人だから凡人並みの信条を持っている。その中で私として最も大なる信条は、わが日本の植物各種を極めて綿密にかつ正確に記載し、これを公刊して書物となし、世界の各国へ出し大いに日本人の手腕を示して、日本の学術を弘く顕揚し、かつ学界へ対して極めて重要な貢献をなし得べきものを準備するに在る、つまり各国人をアット言わせる誇りあるものを作りたいのだ。そして日本人はこのくらい仕事をするぞと誇示するに足るものを作らねばならん。

これは日本の植物学者に出来ぬ仕事かどうかといえば、それは確かに出来る仕事であると、私はこれを公言し断言するに躊躇しない。すなわちこの目的を以て既に出来たものが、私の著述の『大日本植物志』すなわち“Icones Florae Japonicae”であった。

私は大学にいる時、大学での責任仕事としてこの大著述に着手した。それは私一人の編著であった。そして私を信じて創めてこの仕事を打立て任せてくれた恩人は当時大学の総長の浜尾新先生であった。

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