TORENDIA
黒部川奥の山旅
木暮理太郎
TORENDIA
黒部川奥の山旅
本文約76,400字 ・ 読了時間 約153分
あらすじ(AIが作成しました)
著者と同行者は、大正四年七月に黒部川奥の山旅へと出発する。魚津で合流した案内人らと共に片貝谷を遡行し、大窓を経由して剱岳を目指す。険しい岩稜や雪渓が広がる未知の地を進み、小黒部谷など未踏の山域を記録していく。やがて野口五郎岳から高瀬谷へと下り、大町を経て帰京するまで、北アルプスの厳しい自然と山岳宗徒が追い求める雪の宝殿の景観、そして山中での人々の交流を綴る紀行文である。
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片貝谷まで
大正四年七月二十四日午後七時三十分、汽車にて上野発。翌朝九時二十分、魚津着。少許の準備と昼食の後十一時三十分、出立。暑さ甚し。途中屡々休憩して、午後二時三十分、前平沢。此処にて人夫一人を雇い且つ米を購わんとして空しく二時間半を費やし、五時、漸く出発。奥平沢を過ぎて、六時片貝川の沿岸砂地に野営。
日本晴れのした朝の日本海は、山へ急ぐ私達の身にも快よかった。
昨夜は汽車の中で、同行の南日君と赤羽から一緒に乗り込んだ越後女の一隊が、終夜声自慢の謡を歌うやら笑うやら巫山戯るやら、一方ならぬ騒々しさで、夜風の涼しいにも拘らず、少しも眠ることが出来なかった。
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