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TORENDIA

芸術統制是非

本文約4,000字 ・ 読了時間 約8分

あらすじ(AIが作成しました)

新美術院設立をめぐる美術家たちの官権への迎合や政治的な動きを論じ、芸術家の自立と自由を説く。著者は、美術家が名利を追い官権を頼る姿勢を厳しく批判し、比較として文壇が持つ一人一党の独立した精神を高く評価する。芸術の真の価値は権力の庇護や展覧会の評価にはなく、芸術家は自らの矜持を保つべきだと強調し、政治による文化統制への深い懐疑と文芸家への連帯を綴る。

辰野隆

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🎧 芸術統制是非 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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ある日のこと、某国大使館に永年勤務していたしごく実直な男が言うのに、自分も永い間、大使館に出入りする各方面の日本人に接したが、その中でも、ことに勲章を欲しがったり、欲しそうな言動をあえてするのは、いつも美術家に多く、文人に少ない。いったいどういうわけなのだろう、と。

そこで僕は即座に答えて、それは美術家の方が文人よりも、色彩や光沢にははるかに敏感だからだろう、と。

もちろん、僕は笑い話のつもりで答えたのだが相手の男は何か苦いものでも口の中に入れられたような顔をして、さらに言うのに、勲章を貰いたがっても、別に悪い事とは思わぬが、そういう人々が世間では、比較的に名利には恬淡な君子扱いにされて、きわめてアンデパンダンな画派の親玉株だなどと聴くと、つい自分はあさましい心持ちになって、芥溜でも覗くような嘔気を感ぜざるを得ぬ。やっぱり、芸術家は、どこまでも、一人一党で、名誉や利害には疎い方が、何となくゆかしくて快い、と。

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