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TORENDIA

大金塊

本文約93,000字 ・ 読了時間 約187分

あらすじ(AIが作成しました)

荻窪の洋館でひとり留守番をしていた小学生、宮瀬不二夫は、天井から舞い降りた脅迫状に戦慄する。時を同じくして、小林少年もまた賊のアジトで脱出の機会を窺っていた。明智小五郎とともに島で繰り広げられる二少年の命がけの冒険は、ついに隠された一億円もの大金塊の発見と女賊の逮捕という大事件へと発展し、世間を大きく賑わせることとなる。

江戸川乱歩

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恐怖の一夜

小学校六年生の宮瀬不二夫君は、たったひとり、広いおうちにるす番をしていました。

宮瀬君のおうちは、東京の西北のはずれにあたる荻窪の、さびしい丘の上に立っていました。このおうちは不二夫君のおじさんが建てられたのですが、そのおじさんが亡くなって、おばさんも子どももなかったものですから、不二夫君のおとうさまのものとなり、一年ほどまえから、不二夫君一家がそこに住んでいたのでした。

このおうちを建てたおじさんというのは、ひどくふうがわりな人で、一生お嫁さんももらわないですごし、そのうえ人づきあいもあまりしないで、自分で建てた大きな家にとじこもって、こっとういじりばかりして暮らしていたのですが、このおうちも、そのおじさんが建てただけあって、いかにもふうがわりな、古めかしい建て方でした。

全体で十二間ほどの二階建てコンクリートづくりの洋館なのですが、赤がわらの屋根の形がみょうなかっこうに入りくんでいて、まるでお城かなんかのような感じでしたし、その屋根の上に、いまどきめずらしい、石炭をたく暖炉の、四角なえんとつがニューッとつきでていて、おうちのかっこうをいっそう奇妙に見せているのでした。

おうちの中もみょうな間どりになっていて、廊下がいやにまがりくねっているような建て方でしたが、この部屋部屋のかざりつけは、さすがにこっとうずきのおじさんがえらばれただけあって、みな美術的なりっぱなものばかりでした。

なかにも階下にある広い客間なんかは、まるで美術陳列室といってもよいくらい、高価な美しい品物でいっぱいになっていました。壁にかかっている西洋の名画、外国からわざわざ取りよせた、名人のこしらえたイスやテーブル、ほりものの美しいかざりだな、ペルシャ製のじゅうたんなど、こりにこった、とびきり高価なものばかりでした。

宮瀬不二夫君は、そのりっぱなおうちの寝室で、今ベッドにはいったばかりのところなのです。

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