うまい商売
本文約5,200字 ・ 読了時間 約11分
あらすじ(AIが作成しました)
市場で牛を売った帰り道、カエルに金を投げ込んだり、犬に肉を預けたりして理不尽な目に遭うお百姓が、王のもとへ訴えに出る。その際、お百姓の無邪気な言動が一度も笑ったことのない姫を笑わせ、王から褒美を授かることになる。その後、番兵やユダヤ人に金をだまし取られそうになりながらも、機転を利かせて窮地を脱したお百姓は、最終的に莫大な金と新たな衣服を手に入れて帰路につく物語。
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あるお百姓さんが、牝牛を市場へ追っていって、七ターレルで売ってきました。かえり道に、池のはたをとおらなければなりませんでした。まだ池までこないうちに、もう遠くのほうから、カエルたちが「アク、アク、アク」と、ないているのがきこえてきました。
「まったく、うるさくがなりたてやあがる。」
と、お百姓さんはひとりごとをいいました。
「おらのもらった金は七だぞ。八じゃねえや。」
お百姓さんは水ぎわまできますと、カエルたちにむかって、
「てめえたちゃ、なんてばかだ! わからねえのかよ。七ターレルだぞ。八じゃねえんだ。」
と、どなりました。
それでも、カエルたちは、やっぱり「アク、アク、アク」と、なきつづけています。
「ようし、ほんとにしねえんなら、てめえたちの目のまえで勘定してみせてやらあな。」
こういって、お百姓さんはポケットから金をとりだして、二十四グロッシェンずつで一ターレルと、合計七ターレルをかぞえあげてみせました。
けれども、カエルたちは、そんな勘定にはおかまいなしに、またもや、「アク、アク、アク」と、なきたてました。
「ええい。」
と、お百姓さんはすっかり腹をたててどなりつけました。
「これでも気がすまねえんなら、てめえたちで勘定しろい。」
そして、カエルたちのいる水のなかへ、金をそっくりほうりこみました。お百姓さんはそのまま立っていました。カエルたちが勘定をすまして、金をかえしてくれるまで、待っているつもりだったのです。ところが、カエルたちはがんこで、ひっきりなしに、「アク、アク、アク」と、なきたてるばかりです。そして、金などはなげかえしてもくれませんでした。
お百姓さんはなおしばらく待っていましたが、そのうちに日がくれてきましたので、うちへかえらなければならなくなりました。そこで、カエルたちを口ぎたなくののしって、どなりました。