TRENDIA CLASSIC

三本の金の髪の毛をもっている鬼

グリム Grimm

1 / 10

むかし、あるところに、ひとりのまずしい女がおりました。この女があるときひとりの男の子を生みましたが、その子は頭に(1)〈福の皮〉をかぶって生まれてきました。それで、この子は十四になったら、王さまのお姫さまをおよめさんにもらうだろう、という予言をしたものがありました。

それからまもなくのこと、王さまがこの村にやってきました。けれども、それが王さまだとは、だれひとり夢にも知りませんでした。王さまは、なにかかわったことはないかと、村の人たちにたずねました。すると、みんなはこたえて、こういいました。

「さいきん、福の皮をかぶった子どもが生まれました。こういう子どもは、なにをやってもいい運にめぐまれているものです。じっさい、その子についても、十四になったら、王さまのお姫さまをおよめさんにもらうだろう、という予言をしたものもあるんですよ。」

王さまはその予言のことをきいて、ひどく腹をたてました。しかし、もともと腹黒い人でしたから、その子のおとうさんとおかあさんのところへいって、いかにもしんせつそうなふりをして、こういいました。

「どうだろう、あんたがたはまずしいようだが、その子どもをわたしにくれないかね。わたしがめんどうをみてやるよ。」

はじめのうちは、おとうさんもおかあさんもことわりました。けれども、その見知らぬ人が子どもをもらうかわりにといって、たくさんのお金をさしだしたものですから、ふたりは、

(これは福の子だ。どっちみち、いい運にめぐりあうにちがいない。)

と、考えて、とうとう承知してしまいました。そして、子どもを王さまにわたしたのです。

王さまはその子を箱のなかにいれました。そして、それをもって馬をすすめていきますと、そのうちに、とあるふかい川にでました。すると、王さまはその箱を川のなかにほうりこんでしまいました。そして、

(これで、思いもよらないやつに姫をやらなくてもすんだわけだ。)

と、心のなかで思いました。

ところが、その箱はしずまないで、小舟のように、ぷかぷかうかんでいきました。そして、なかには水一てきはいりませんでした。

グリム Grimmの他の作品