歌をうたう骨
本文約2,400字 ・ 読了時間 約5分
あらすじ(AIが作成しました)
国を荒らすイノシシを退治するため、性格の異なる兄弟が森へ向かう。無垢な弟は小人から授かった槍で功績を上げるが、ずる賢い兄は嫉妬心から弟を密かに襲い、その功績を横取りして王の娘を娶る。数年後、橋の下に埋められた弟の骨を偶然拾った羊飼いが笛を作ると、その笛は不思議な歌を奏で始め、長年隠されていた兄の非道な行いを暴き出していく。罪と正義の行方を描く寓話である。
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むかし、ある国で、イノシシがお百姓さんの畑をあらしたり、家畜を殺したり、人間をきばで八つざきにしたりするので、たいへんこまったことがありました。
王さまは、だれでもこのわざわいから国をすくってくれるものには、たくさんのほうびをつかわす、と約束しました。ところが、そのけものはものすごく大きくて、力が強いので、だれひとりそのけもののすんでいる森に近づこうとするものはありませんでした。
とうとうしまいに、王さまは、このイノシシをつかまえるか、殺すかしたものには、じぶんのひとりむすめを妻にやろう、というおふれをだしました。
さて、この国にふたりの兄弟が住んでおりました。あるまずしい男のむすこたちでしたが、このふたりが名のってでて、このたいへんな冒険をやってみよう、ともうしでました。にいさんのほうは、ずるがしこい男で、思いあがった気持ちからこの冒険をやろうとしたのです。しかし、弟のほうはむじゃきな、おめでたい男なので、すなおな気持ちからやろうとしたのでした。
王さまは、ふたりにいいました。
「おまえたちは、それぞれ反対のがわから森にはいっていくがよい。そのほうが、いっそうたしかにけものを見つけることができよう。」
そこで、にいさんは西のほうから、弟は東のほうから森のなかへはいっていきました。弟がしばらく歩いていきますと、むこうからひとりの小人がやってきました。小人は手に一本の黒い槍をもっていましたが、弟にむかって、
「おまえは、罪のない、いい人間だから、この槍をあげよう。この槍をもって、安心してイノシシにむかっていきなさい。イノシシはおまえにわるいことをなんにもしやしないよ。」
と、いいました。
弟は小人にお礼をいいました。そして、その槍を肩にかついで、なにものもおそれずに、ずんずん森のおくへはいっていきました。まもなく、弟はそのけものを見つけました。イノシシは弟めがけて、まっしぐらにとびかかってきました。弟はイノシシにむかって槍をつきだしました。と、イノシシはやみくもにそれにつっかかり、ぐさりとつきささって、心臓がまっぷたつになってしまいました。