忠義者のヨハネス
本文約10,000字 ・ 読了時間 約21分
あらすじ(AIが作成しました)
死期を悟った老王は、忠実な家来ヨハネスに、若き王子を支えるよう託す。老王は王子に城のすべてを見せるよう遺言するが、ただ一つ、ある王女の絵姿が隠された部屋だけは決して開けてはならないと固く禁じる。しかし、好奇心に駆られた王子は禁を破り絵姿を見てしまい、その美しさに心を奪われ、王女を自分のものにしたいと強く願う。ヨハネスは王子のため、王女を連れ出す危険な計画を実行に移すことになる。
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むかし、あるところに、年よりの王さまがおりました。王さまは病気で、もう、この寝床が、どうやらじぶんの臨終の床になるらしい、と思っていました。
そこで王さまは、
「忠義者のヨハネスをよんでまいれ。」
と、おそばのものにいいつけました。
忠義者のヨハネスというのは、王さまのいちばんお気にいりの家来でした。この男は、一生のあいだ、ずっと王さまに忠義をつくしてつかえてきましたので、こんなふうによばれていたのです。
ヨハネスがまくらもとへきますと、王さまはいいました。
「またとない忠義者のヨハネスよ、いよいよわしのさいごのときがちかづいたような気がする。ついては、これといって心配になることもないが、ただむすこのことだけが気がかりなのじゃ。あれは、まだ年もゆかないので、どうしてよいかわからぬこともあろう。ひとつ、おまえが親がわりになって、なにかにつけて、あれの知らなければならないことをおしえてやってはくれまいか。さもないと、わしは安心して目をつぶることができないのじゃ。」
これをきいて、忠義者のヨハネスはこたえました。
「かならず、王子さまを見すてるようなことはいたしませぬ。わたくしの命にかけましても、きっと忠義をつくしておつかえもうします。」
すると、年よりの王さまはいいました。
「それをきいて、わしも安心して、やすらかに死んでゆける。」
それから、さらにことばをつづけて、
「わしが死んだら、王子に城のなかをすっかり見せてやってくれ。へやも、広間も、穴ぐらも、またそこにある宝ものも、のこらず見せてやってもらいたい。だが、長い廊下のいちばんおくのへやだけは見せてやってはくれるな。あのなかには、金のお城の王女の絵がしまってあるのだ。もしも王子が、その絵姿をひと目でも見れば、たちまちその王女へのはげしい愛を心に感じて、気をうしなって、たおれてしまうだろう。そしてその王女のために、おそろしい災難にあうことになろう。だから、そういうことのないように、ようく気をつけてやってもらいたい。」