TRENDIA CLASSIC

見開いた眼

モーリス・ルヴェル Maurice Level

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寝床に仰向きになっていたその死人は、実に物凄い形相だった。

体はもう硬直していたが、頭髪は逆立ち、口を歪め、唇は上反って、両手で喉を掻きむしる恰好をしていた。そして小さなランプが一つ点っている薄暗い室の中に、なお生けるがごとくかっと見開いた両眼には、最後に何か恐ろしいものを目撃した恐怖の跡が、まざまざと残っていた。

その傍で、警部や警察医や刑事達に取囲まれた一人の下男が、不気味な屍体を見まいとして、自分の顔へ手を翳しながら、話をつづけた。

「十一時頃だったと思います。旦那様はもうお臥みでしたが、私は自分の部屋へ退ろうとしていると、叫び声がしました。ハイ、たしかに叫び声です。私はいきなり階段を駆け登って、旦那様のこのお室の戸を叩きましたが、御返事がないものですから、室内へ入って御様子を見ると、思わず後退りをして大声で助けを呼びました。ところが、そのとき、ランプのあたりに二個の人影がちらついたのを認めました。で、私は飛ぶように階段を降りて、庭を突切って、お届けに行ったんですが、その間に誰も此室から逃げ出せる筈がありません。何故って、私は戸口を二重鍵で締めておきましたし、どの窓も厳重な格子付になっておりますので」

「うむ、お前の考えで怪しいと思う者がないかね。その人影っていうのは、判然と見たんじゃないのか」

下男は漠然たる身振りをやって、少しもじもじしながら、言葉をつづけた。

「実は、こうなんです――二年前から小間使が一人住込んでおりまして、つまりお妾ですが、旦那様は六十四で、その女はまだ若いものですから、とうとうお気に入りになって、鍵を預るといったようなわけで、いずれ遺産を相続するだろうなんて噂もありました。それだのに、その女は夜分に男を引入れたりなんかしまして……私達もこれまでは秘密にしておきましたが、どうも警察の方がお出になった上は、何もかも申し上げないわけに行きません……それで先刻私が見た人影というのも、実はその男女だったのでございます」

「それは重大なことだぞ。間違いがあるまいな」

「わかっております」

下男はきっぱりと答えた。

「よしっ、その小間使をつれて来い」

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