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TORENDIA

にいさんと妹

本文約7,800字 ・ 読了時間 約16分

あらすじ(AIが作成しました)

まま母に虐げられるにいさんと妹は、家を飛び出し森へ向かう。魔法使いであるまま母は泉に呪いをかけ、水を飲んだにいさんは子ジカの姿に変えられる。妹は子ジカを連れて森の小さな家で暮らし始めるが、ある日狩りに来た王に見つかり、連れ去られた先で苦難を強いられる。のちに妹は王と再会して真実を明かし、魔法使いが滅びたことでにいさんは人の姿を取り戻し、兄妹は再び平穏な日々を送る。

グリム Grimm

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にいさんが妹の手をとって、いいました。

「おかあさんが死んじゃってから、ぼくたちには、いいことって、ただの一時間もないねえ。こんどのおかあさんたら、まい日まい日、ぼくたちをぶつし、そばへいけば、足でけとばすんだもの。それに、ぼくたちの食べものといえば、食べのこしの、かたいパンのこばだろう。テーブルの下にいる犬のほうが、ぼくたちよりゃずっとましだよ。おかあさんは、ぼくたちにゃくれなくったって、犬にゃ、ときどき、うまいものをほうってやってるもの。死んだおかあさんがこんなことを知ったら、それこそたいへんだよ。ね、ひろい世のなかへ、ぼくたちでていこうよ。」

ふたりは、一日じゅう、草原や、畑や、石っころの上を歩いていきました。雨がふってきますと、小さい妹は、

「神さまと、あたしたちの心がいっしょになって、泣いてるのねえ。」

と、いいました。

日がくれるころ、ふたりはある大きな森のなかにはいりこみました。ふたりは、心配なのと、おなかがへったのと、長いあいだ歩いたのとで、すっかりくたびれていました。それで、とある木のうろのなかへはいりますと、すぐにねいってしまいました。

あくる朝、ふたりが目をさましたときには、お日さまはもう高くのぼっていて、木のうろのなかまで、かんかんさしこんでいました。そのとき、にいさんがいいました。

「ねえ、ぼくはのどがかわいちゃったよ。泉のあるところがわかりゃ、いってのんでくるんだけどなあ。おやっ、なんだかさらさらいう水音がきこえるようだよ。」

にいさんは立ちあがって、妹の手をとりました。ふたりは泉をさがしにいこうというのです。

ところが、あのわるいまま母というのは、じつは、魔法使いの女だったのです。ですから、ふたりの子どもがにげだしたことも、もうちゃんと知っていて、気がつかれないように、そうっとふたりのあとをつけてきていたのでした。

魔法使いの女というものは、みんな、そんなふうにそうっと歩くものなのです。そして、この女は、森のなかの泉という泉に、魔法をかけておいたのでした。

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