白ヘビ
本文約5,000字 ・ 読了時間 約10分
あらすじ(AIが作成しました)
ある王の召使いは、不思議な白ヘビを口にしたことで動物の言葉を理解する能力を得る。王妃の指輪を盗んだ疑いをかけられるが、カモの話を盗み聞きして見つけ出し潔白を証明する。その後、旅に出た若者は、命を救った魚、アリ、カラスたちの恩返しを受けながら、姫が出す三つの難題を次々と解決する。最終的に姫と結ばれた若者は、持ち帰った命のリンゴを分け合い、末永く幸福に暮らす。
💰 この本を応援する(投げ銭)
いまからずっと、むかしのこと、あるところにひとりの王さまが住んでおりました。その王さまのかしこいことは、国じゅうに知れわたっていました。とにかく、王さまの知らないことは、なにひとつないのです。どんなにないしょのことでも、空をつたわって、王さまのもとに知れるのではないかと思われるほどだったのです。
ところで、王さまにはかわった習慣がひとつありました。それは、まい日お昼の食事がすんでからのことでした。食事のおさらがすっかりさげられて、その場にだれもいなくなりますと、ひとりの信用のあつい召使いが、いつもきまって、なにかもうひとさらもってくることになっていたのです。けれども、それにはふたがしてありますので、その召使いでさえも、おさらのなかになにがはいっているのか知りませんでした。それに、王さまはひとりきりにならないうちは、けっしてふたをあけて、食べようとはしませんので、だれひとりその中身を知っているものはありませんでした。
こうしたことが、長いあいだつづきました。ある日のこと、おさらをさげた召使いが、どうにも中身を知りたくなって、そのままそのおさらをじぶんのへやにもっていきました。召使いは扉を注意ぶかくしめてから、ふたをとってみました。と、なかには一ぴきの白ヘビがはいっています。召使いはそれをひと目見ますと、どうしても食べてみたくなりました。そこで、白ヘビをほんのすこし切って、口にいれました。
ところが、どうでしょう、それが舌にさわったとたん、窓のそとから、やさしい声で、ふしぎな、ひそひそ話をしているのがきこえてきたではありませんか。そばへいって、耳をすましてみますと、それはスズメたちがあつまって、野原や森で見てきたさまざまのことを、たがいに話しあっているのでした。つまり、この召使いはヘビを食べたおかげで、動物たちのことばがわかるようになったのです。
さて、ちょうどこの日に、お妃さまのいちばん美しい指輪がなくなりました。ところでこの召使いは、どこへでも出入りをゆるされていましたので、この男がぬすんだのではないかといううたがいがかけられました。