漁師とそのおかみさんの話
本文約10,100字 ・ 読了時間 約21分
あらすじ(AIが作成しました)
貧しい小屋で暮らす漁師は、ある日海で釣った魔法の力を持つヒラメを逃がしてやる。その事を聞いた妻は、より良い生活を求めてヒラメに願いを叶えるよう漁師に命じる。漁師が海で呼びかけると、ヒラメは妻の願い通り立派な家やお城を与える。しかし妻の欲望は膨らみ続け、ついには王や皇帝を超えて神になろうと望む。漁師は妻の命令に抗えず再び海へ向かうが、海は荒れ狂い、最終的に全てが元のぼろ小屋に戻る様子を描く。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
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むかしむかし、ひとりの漁師とそのおかみさんがおりました。ふたりは、海のすぐそばの小屋に住んでいました。漁師はまい日魚つりにでかけました。あけてもくれても、魚つりばかりしていました。
あるとき、漁師はつりざおのそばにすわって、きらきらかがやく水のなかをじっとのぞきこんでいました。漁師は、いつまでもすわったきりでした。
と、とつぜん、つり糸が水底ふかくぐんぐんしずんでいきました。漁師がさおをあげてみますと、大きなヒラメがかかっていました。すると、そのヒラメが漁師にむかっていいました。
「ねえ、漁師さん、おねがいだから、わたしを生かしておいてください。わたしは、ほんとうはヒラメではなくって、魔法をかけられている王子なんです。あなたがわたしを殺したところで、なんの役にたちましょう。食べてもおいしくはありませんよ。どうかもういちどわたしを水のなかにいれて、にがしてください。」
「よしよし。」
と、漁師はいいました。
「そんなにいろいろいいたてなくてもいい。口のきけるヒラメなら、にがさずにおくもんかい。」
こういって、漁師はきらきらかがやいている水のなかへ、もういちど魚をはなしてやりました。ヒラメは水底へもぐっていきましたが、あとへ長い血のすじをのこしていきました。そこで、漁師は立ちあがって、おかみさんのいる小屋にかえっていきました。
「おまえさん、きょうはなんにもとれなかったのかい。」
と、おかみさんがたずねました。
「うん、なんにもだ。」
と、漁師はいいました。
「ヒラメを一ぴきとりはしたがな、そいつが魔法をかけられた王子だっていうもんだから、またにがしてやっちまった。」
「で、おまえさん、そいつになんにもたのまなかったの。」
と、おかみさんがたずねました。
「そうよ。」
と、漁師はいいました。
「いったい、なにをたのもうっていうんだい。」
「あきれたねえ。」
と、おかみさんがいいました。